ソトコト ソーシャル&エコ・マガジン

sotokoto interview

2012年夏のロンドンオリンピックで日本人初の金メダリストとなり、国内を大いに沸かせた柔道家の松本薫さん。そして、シドニーオリンピックで金メダリストとなった高橋尚子さん。金メダルをとったからこそ見える光景とは?頂点に立った二人の対談が実現しました。 photos : Masaru Suzuki text : Katsuyuki Kuroi

今は自分と向き合う貴重な時間を過ごしています。

photo
高橋さんは2009年から「スマイル アフリカ プロジェクト」のフロントランナーとしても活動中。日本の子どもたちからまだまだ使えるシューズを集め、アフリカの子どもたちに贈る活動だ。毎年ケニアを訪問し、シューズを渡したり、ランニングイベントに参加している。

高橋尚子(以下高橋): ロンドンオリンピックでは日本人金メダル第1号と、その大活躍に日本中から注目の的となりましたが、帰国後、何か変わりました? 見える景色が違うんじゃないですか?

松本薫(以下松本): 以前とは全然違いますよ。ロンドンに向けて出発するとき、「行ってらっしゃい」って、成田で誰も見送ってくれなかったのに、帰国したら大勢の人が「お帰りなさい」って大歓迎ですよ(笑)。エッ? こんなに私の周りに人がいたの? って、それが驚きでした。それと“ジロジロ度”です。ラーメン屋さんでラーメン食べているときも、「松本、ラーメンなう」ってツイートされるし、周りが気になって気になって。いい意味での窮屈ですけどね。

高橋: 私も経験があるのですが、一人で外出するのが怖かった。サインに応じるのは構わないけど、気がつくと囲まれていてもう収拾がつかなくなる。

松本: 今は気づかないうちに、携帯やスマホで写真を撮ってくる人が多いですね。突然、隣に並んでツーショット撮影されたり……。人違いのふりをするんですが(笑)。

高橋: でも、応援してくれる人がそれだけ増えたということだから、ありがたいことですよね。

松本: そうですね。力になります。みんなが喜んでくれて、うれしいです。食事をしていても、金メダルを取った後のインタビューで「チョコレートパフェを食べたい」と言ったことを覚えていてくれたのか、デザートをサービスしてくれますしね。

photo
ロンドンから帰国後、松本さんは所属するフォーリーフ ジャパンのメンバーが手がける社会貢献活動に参加した。これは長崎県西海市での海岸清掃の様子。

高橋: オリンピックまでは金メダルという目標のために、体調や栄養管理、それに計量もあるから、食事には相当に気を使っていたはずだけど、そこから解放された反動もありますか?

松本: たしかにオリンピックまでは朝、昼、練習後、夜と体重計に載っていました。今でも再スタートに備えて体重に関しては常に気にかけていますし、無意識のうちに調整はしています。私の場合、隠れて大好きなお菓子を食べていましたが(笑)、ちゃんと消費され、体重は増えないんですよ。ただ、これまでずっとオリンピックを見据え、金メダルのために食事も含めた生活全般でピリピリしてきましたから、ちょっと楽をさせてもらっています。

高橋: オリンピックを目指して、ずっとやってきたからですね。こんなに練習から離れて休んでいられるなんてことは、今までなかったんじゃないですか?

松本: そもそも柔道はオールシーズンのスポーツですし、休みなんて全くありませんでした。今は自分と向き合うことができる貴重な時間を過ごしています。一つの大きな節目を終えたという感じで、柔道以外のことでいろいろなことを経験させてもらったり、勉強をさせてもらっています。

全文は本誌 2013年1月号に掲載!

高橋尚子 Naoko Takahashi

高橋尚子
Naoko Takahashi

たかはし・なおこ●1972年岐阜県生まれ。95年大阪学院大学卒業後、実業団へ。2000年シドニーオリンピック優勝、01年ベルリンで世界記録(当時)樹立。08年、現役引退。現在は社会貢献活動や環境活動、JICAオフィシャルサポーターなどで活動中。

松本 薫 Kaori Matsumoto

松本 薫
Kaori Matsumoto

まつもと・かおり●1987年、石川県出身。6歳から柔道を始め、現在4段。今年のロンドンオリンピック優勝により、世界選手権、ワールドマスターズ、すべてのグランドスラム(4か国で開催)を制した初の選手となった。57kg級。フォーリーフジャパン所属。

ゴミ、捨てんなよ!

Copyright © sotokoto online, Inc. ALL rights reserved.