ソトコト ソーシャル&エコ・マガジン

福岡伸一の生命浮遊

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vol.152 コロニーを転写した
フィルターを作る

これまでの回で、細胞で発現している遺伝子群、つまりメッセンジャーRNA(mRNA)をそのままDNAに写し取る方法、すなわちcDNAライブラリーを作る原理について細かいことをいろいろ説明してきた。ここから先は、いかにしてそのライブラリー(図書館)から、目的の書物を探し出すかについて考えてみよう。

vol.151 cDNAライブラリー

細胞から全部のmRNAを抽出し、逆転写酵素を使って、DNAを作り、そこからcDNAを合成すると、もともと細胞内にあったすべての種類のmRNAは、まるごと安定したcDNAに写し取られることになる。また、mRNAの量的な分布も、そのままcDNAに反映されることになる。

vol.150 mRNAからcDNAへ

DNAはデオキシリボ核酸、RNAはリボ核酸で、どちらも非常に似通った化学構造なのだが、ほんのひとつ、デオキシ構造(水酸基-OHがない)の差異だけで、物質としての安定性が格段に違ってくる。DNAは化学的に安定的で、RNAは化学的に不安定な(分解を受けやすい)物質なのだ。

vol.149 オートファジーは、
動的平衡を支えるしくみ

2016年のノーベル医学・生理学賞は、日本人研究者・大隅良典氏のオートファジー研究に対する貢献に対して授与された。今回は、これまでの本コラムのストーリーからちょっと離れて、この話題を論じてみたい。ここ数年来、次々と日本人がノーベル賞に輝くことが続いた(忘れっぽい人のために列記すると、12年は、iPS細胞の開発で、山中伸弥氏が医学・生理学賞、14年は、青色ダイオードの発明により、赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏に物理学賞、15年は、寄生虫病薬の開発で、大村智氏に医学・生理学賞、ニュートリノ研究で、梶田隆章氏に物理学賞)ので、今回も大きなニュースになった。

vol.148 遺伝子釣り~DNAとRNA~

前回は、釣り針(タンパク質のアミノ酸配列情報から得た遺伝子暗号候補)を使って、それと相補的な配列を有する遺伝子本体を釣り上げる技術の原理を話した。その際、省略したことについて今日は述べておこう。細胞の中、細胞核の内部に折りたたまれて鎮座しているDNA(その総体をゲノムと呼ぶ)は、情報を安定的、かつコンパクトに保持するため、二重らせん構造をしている。

vol.147 遺伝子を釣り上げる

タンパク質のアミノ酸配列の情報をもとに、塩基配列情報を推測する。これをもとに遺伝子を釣り上げることができる。これを遺伝子クローニングという。ゲノム計画が完成するまでは、遺伝子の全体像はまさに地図のない、まったくの未開の大陸だったから、私たちは手探りで進むしかなかった。

vol.146 部分的なアミノ酸配列

およそ500個のアミノ酸が連結してできているGP2というタンパク質の完全なアミノ酸配列を知りたい。これが私たちの研究の当面のゴールだった。精製した貴重なGP2の標品(サンプルのこと)を少し使って、先頭から15個のアミノ酸配列を決定した。それから、また標品の一部を使って、GP2をいくつかの断片(これをペプチドと呼ぶ)に分解し、その断片をそれぞれ分離・精製して、その断片の先頭からアミノ酸配列を解読した。

vol.145 さらにアミノ酸解析を進める

500個のアミノ酸の連なりによって形成されているタンパク質GP2。私たちはようやく先頭から15個までのアミノ酸配列を知ることができた。だが、ゴールはまだまだ遠い。アミノ酸配列全体を知る必要がある。しかし先頭から1つずつアミノ酸を切り離して、それがどのアミノ酸であるか決定していく方法には限界があった。

vol.144 アミノ酸配列を決める

私たちが膵臓の細胞から精製してきたタンパク質GP2のサンプルは、予想していた以上にきれいなものだった。この場合のきれいさとは、混じりものがない純粋品である、ということだ。試験管の底にほんのわずかだけ溜まっている透明な溶液の中には、GP2の分子以外のものはほとんど含まれていない。

vol.143 先頭のアミノ酸を決める

その日、私たちは争うようにしてデータシートに目を凝らした。まるで試験の結果が書かれた成績表に食い入るみたいに。とはいえ、データシートに表れているのはテストの点数ではなく、たった今、プリンターから打ち出されたギザギザの折れ線グラフである。これは精製タンパク質のアミノ酸配列を分析した結果だった。

ゴミ、捨てんなよ!

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