ソトコト ソーシャル&エコ・マガジン

福岡伸一の生命浮遊

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vol.173 免疫学研究の光と影

本庶佑にノーベル医学生理学賞授賞の報が飛び込んできた。ガンと免疫の関係については当コラムでも論じてきたが、本稿でもあらためて概観してみたい。このところ、わたしはいつもノーベル賞発表の季節になると大手新聞社の会議室に招集され、ネット中継でスウェーデン・カロリンスカの発表会場を見守ることになっている。

vol.171 アリマキの超絶技巧

蚊の話から、アリマキの話に戻りたい。アリマキとは透明に近い薄緑色をした身体に、細い手足が生えた微小昆虫である。形は人間の涙に似ているが、涙の粒よりずっと小さい。植物の茎などに集団でとりついている。アリマキは、季節のよいときは、メスがメスを産む。オスの力をまったく必要としない。

vol.167 アリマキ的人生

アリマキという小さな生物がいる。紡錘形のゴマ粒ほどの大きさで、虫メガネでよく見ると細い脚が6本ついている。つまりアリマキは昆虫の一種。アブラムシとも呼ばれるが、もちろんゴキブリとは違う。前回、書いたようにアリマキは季節がよいあいだは単為生殖で増殖する。つまりメスの個体が、オスの力を借りることなく、どんどん子どもを産むのだ。子どもはすべてメス。

vol.166 有性生殖の意味

前回は、有性生殖の意味について述べた。生命が、オスとメスという性別をつくり、2つの性が出合わないと次世代をつくれない仕組みをつくった。これによって、絶えず遺伝子をシャッフリングし、混ぜ合わせることができ、結果として新しい順列の組み合わせをつくり出す。

vol.165 DNAのシャッフリング

同じ父親と母親から生まれているのに、どうして兄弟姉妹でここまで容姿や性格が違うのか、なんてことがよく言われることがある。しかしそれは精子と卵子にDNAの情報がどのように分配されるかを知れば、違っていて当然のことだと納得できる。

vol.162 フルーツフライの物語

生物学では、ラットもしくはマウスが実験動物として多用される。ラットは大型のネズミ。マウスは小型のネズミである。両方とも哺乳動物であり、臓器の仕組みも、必須アミノ酸の種類も、代謝の回路も基本的にヒトとほぼ同じなのでモデル動物として使えるのである。妊娠期間は20日と短く(それゆえ別名はハツカネズミ)、文字どおりねずみ算式に増えるが、性的に成熟して次の世代をつくれるまでに2か月半ほどかかる。

vol.161 マイケル・ヤング氏のノーベル賞

毎年10月の第1週は、ノーベル賞のシーズン。私は、解説要員として新聞社で待機していた。まじめに大学で研究に邁進していれば、あるいはもらう側になれたかもしれないが、生半可なモノ書きになってしまったせいで、もっぱら解説する側に回っている……というのは冗談として、昨年の大隅良典氏、一昨年の大村智氏、梶田隆章氏、その前年の赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏など、このところ日本人が相次いで受賞しており(中村修二氏は受賞時、米国籍)、まるでオリンピックのメダル獲得ニュースに似た様相を呈している。

vol.156 GP2遺伝子を取り出す

直径10センチほどの円形のナイロンフィルターが何枚も目の前に並んでいる。一見、ただの白い薄切りの円盤。まさに千枚漬けだ。肉眼では見えないが、ここにはミクロなレベルで、重要な現象が積み重なっている。まずナイロンフィルターの表面には点々と、ライブラリーのcDNAが固定化されている。

vol.155 探査針はGPS

さて、いよいよ遺伝子の隠れ家を突き止めるときがきた。少し前の回に書いた千枚漬けの話を思い出していただけるだろうか。直径10センチほどの白いナイロン製の薄い円盤のことを千枚漬けに例えた。わたしたちはこの円盤のことを通常、フィルター、もしくはメンブレンと呼んでいる。

vol.154 アイソトープのラベル

前回は「宝探し」の準備の手順を説明した。今回はその続き。DNAライブラリーに由来するコロニーが固定された“千枚漬け”(円形のナイロンフィルター)を入れたジップロック・パックに、宝物を探査するためのプローブ(短い一本鎖DNA)を混ぜ、パックの入り口をシールして密封する。

ゴミ、捨てんなよ!

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