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駒崎弘樹の日本の第三の道 違う音同士が奏で合うことで、ハーモニーが生まれる。それが多様性。

長谷部: 全員違って当たり前なんですよね。多様性は、違う音同士を奏でてハーモニーができる。全員が同じ音を奏でるという話じゃない。いろんな音が混ざっていいわけだから。では、今の渋谷はいい音が出ているかというと、まだまだいい音が出ていない。ホームレスに関しても、もう少し環境をよくしてあげたいし。周りも、ホームレスの人たちのことをもう少し理解する余地もまだあるわけだからさ。

駒崎: そうなんですよね。世の中の社会課題を解決しようというときに、行政や政治を「パートナー」と見るか「敵」と見るかで、ずいぶん活動が変わってきちゃうんですよね。

長谷部: それはあるね。前区長は、ホームレスのことは当然助けたいと思っていたけれど、活動派とぶつかってしまったんです。

駒崎: 対立していましたね……。

長谷部: だけど、実際、困っている人がいるんだし、僕たちが対立していても仕方がない。多様性のある街づくりをするには、ホームレス問題は見過ごしておいてはいけない。

駒崎: 無視しても解決はしませんからね。敵と見ることによって、行政がやること全てが「悪」になる。構造的に「敵を倒す」ということ自体が活動の意義になってしまうことになる。そうすると、社会問題の解決は二の次になっていってしまう。民間、地域団体、NPOは行政と文化は違えども、対話をして、課題解決につなげていくべきですね。

長谷部: 僕もそう思う。まずは渋谷区として具体的に「こういう支援を考えている」という考えを打ち出すことが第一歩だと思う。そうやって、距離を縮めていけたらいいかなとは思っています。

駒崎: そういう意味で、長谷部さんのようなNPO出身の人が区議や区長になることは、すごく重要だと思うんですね。現場で社会の課題に相対してきているから、課題が肌感覚で分かる人が多い。「国からきたメニューをとりあえずやりましょう」というより、クリエイティブに課題解決をしていこうぜっていう人材がすごく求められているんじゃないでしょうか。もちろん、行政出身でもいい人はいるんですけれどね。

長谷部: そうですね。渋谷が得なのは、「渋谷区」ってことで、いろんな才能を持っている人たちが集まってくる場所。その人材を使わない手はないんですよ。駒崎さんも渋谷に引っ越しておいでよ(笑)。

後編に続く





多様性
長谷部区長は、性別、人種、年齢や障害の有無などで差別されず、多様な個人が尊重され、全ての人が社会参画し、責任を分かち合える社会を目指している。
NPO出身の人
渋谷区の原宿・表参道から始まったゴミ拾いボランティアのNPO法人『グリーンバード』は、区議会議員に選出される以前に長谷部区長が設立した。

駒崎弘樹 こまざき・ひろき

駒崎弘樹 こまざき・ひろき
1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、2004年に日本初の「共済型・非施設型」の病児保育サービスを行うNPO法人『フローレンス』を設立、代表理事に。12年に一般財団法人『日本病児保育協会』、NPO法人『全国小規模保育協議会』を設立、理事長に。厚生労働省「イクメンプロジェクト」座長などを歴任。2児の父親。

長谷部 健 はせべ・けん

長谷部 健 はせべ・けん
1972年、東京都渋谷区生まれ。渋谷区長。NPO法人『green bird』創設者。専修大学学部卒業後、広告代理店に入社。2003年、NPO法人『green birdを設立。同年4月、渋谷区議会議員に初当選以来3期連続トップ当選。15年4月、渋谷区長選に当選し、渋谷区長に就任。

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