ソトコト ソーシャル&エコ・マガジン

駒崎弘樹の日本の第三の道 違う音同士が奏で合うことで、ハーモニーが生まれる。それが多様性。

駒崎: 多様性を包摂する地域社会の中に、マイノリティであるホームレスもいます。渋谷は繁華街ということもあって、ホームレス問題とは切っては切り離せないものがあると思うんですけど。

前区長のときは支援団体とトラブルになったこともありましたね。でも、長谷部さんはそれを何とか方向転換していこうとされている。そのあたりを、お話しいただけますか。

長谷部: まず、ホームレスの支援に関しては、「社会復帰に向けた支援」が基本だと僕は思っている。だけど、簡単ではありません。それに、ホームレス問題はマイノリティだけの問題ではなくて、マジョリティ(多数派)の意識の変化も求められる問題なんですよね。

この点に関しては、LGBTもホームレスも同様の問題を抱えている。僕らはホームレスのことをあまりに知らない。どういう状況でそうなっているか、何を望んでいるかを知らないんです。

実際、行政の立場にいるとホームレスが生活する現場のことはやっぱりわかりきれないところもある。だから、実際に支援をしている人たちの声を聞いてプロジェクトチームをつくりたいと思ったんです。

駒崎: 僕も参加させていただいていた、ホームレス支援プロジェクトの「アイ リブ シブヤ」ですね。

長谷部: それで今後の支援のあり方として、「アイ リブ シブヤ」に「ハウジング・ファースト」という考えを提案していただいた。それを予算づくりの中でも取り組んでいます。「まずは住む家」という、欧米のホームレス支援の現場では一般的になりつつある「ハウジング・ファースト」という考えは、「なるほどな」と、納得しました。

駒崎: 「アイ リブ シブヤ」では、専門分野で活躍している人が多い。僕はファシリテーターの役割だと思っています。僕のほか、中村あずささん(『世界の医療団』東京プロジェクトコーディネーター)、大西連さん(NPO法人『もやい』代表理事)、新地加奈枝さん(NPO法人『キャリアサポートネットワーク』代表理事)らが集まって、最先端のホームレス支援方式を議論してくださいました。

そこから出てきたのが「ハウジング・ファースト」なんですね。これまでの行政のアプローチは共同宿泊施設を活用するのが一般的でした。そうすると6人部屋とかでかなり劣悪な環境だった。衛生的でなかったり……。そうすると、いくら家がないといっても行きたがらない。野宿やテントのほうが自由だし快適なんですから。

ハウジング・ファーストモデルでは、個室を用意して必要なケアを入れていく。ホームレスの方の中にはメンタルヘルスを病んでいる方も多い。訪問看護を入れたり、自立に向かえるようにカウンセリングや仕事の紹介も可能です。僕たちは、渋谷区が日本で初めて行政としてやってみたらどうかっていうのを提言しました。

アイ リブ シブヤ
昨年7月より12月まで活動したホームレス支援プロジェクト。駒崎さんのほかに、『世界の医療団』東京プロジェクトコーディネーターの中村あずさ氏や、『もやい』代表理事の大西連氏らがメンバー。

ゴミ、捨てんなよ!

Copyright © sotokoto online, Inc. ALL rights reserved.