ソトコト ソーシャル&エコ・マガジン

駒崎弘樹の日本の第三の道 問題発掘から解決へと導く鍵は、正しい言論のあり方にある。

駒崎: どう超克していけばいいんでしょうか。本当だったら意味があるかもしれない「論点出し」が、言説パッケージによって回収されることでイデオロギーの一部になってしまうのは避けたい。前に進めない状況を乗り越えるためにはどうしたらいいんだろう。怪しい連中が手を差し伸べたときに「おい、ちょっと待て! お前ら、違うから!」って断る力を発揮するべきなのかな。

荻上: 基本的には、個別撃破ですよね。僕は昔から、サイバーカスケード(炎上やインターネット上で集団極端性化する現象)の研究をやってきました。一度起こってしまったサイバーカスケードは、どうやれば中和することができか。炎上したら、全体そのものを急に変化させることは難しいですからね。

2005年頃にジェンダーフリーバッシングが起こりました。「学校で男女が同じ教室で着替えさせられている」とか、「フリーセックスを目指している」とか。なんか変な言説がいっぱい出てきたんです。「男女共同参画予算10兆円も付いているそうだ」とか。どう考えてもそんなに付くわけねえだろうっていうのも広がったり。僕はどちらかというと、フェミニスト寄りの立場なので、「それは間違っていますよ」ということを、一個一個まとめサイトを作って出していったわけです。ネット上で変なことを行っている人がいたら「いやそうじゃないみたいだよ」って言ってリンクを貼る。「でもフェミニストはクズだよね」って思っている人の態度こそは変更しないものの、さすがに「10兆円云々」は言わなくなる。

駒崎: 個別でカウンターメッセージを出していくってことですね。すごく参考になりました。保育園に関してもいろんな言説が出ている。一個一個やっぱりちゃんと根拠を出していかないと駄目なんだなって、あらためて感じますね。

荻上: 世の中には「誰か、邪魔してる岩盤をどかすと何とかなる」っていう中二病のような人がいる。「在日を追い出せば日本はよくなるんだ」とか「既得権益に群がる人たちを追い出せば保育園業界は自然と回るんだ」みたいな発想。一発逆転の思想ですよね。複雑な思考に耐えることができない人が、シンプルなものに飛びついていくっていう……。

駒崎: そうなんですよね。なんだか勇気が出ました。個別撃破でカウンターメッセージですってことですね。

ジェンダーフリーバッシング
ジェンダーフリーに対する「男らしさ・女らしさなど性差を否定する」「伝統文化を否定する」というようなバッシング。なお、ジェンダーフリーに反対する立場は「バックラッシュ」と呼ばれている。

ゴミ、捨てんなよ!

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