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駒崎弘樹の日本の第三の道 問題発掘から解決へと導く鍵は、正しい言論のあり方にある。

駒崎: みんなをまとめるための「旗を立てる」必要はありますね。だけど「旗を立てる」行為そのものが結構リテラシーが高いことなんですよね。それをできる人がいなかったりすると、永久に争っているし。

荻上: とはいえ、小異においてこだわり続ける人が、問題発見を続けてくれる場合もある。その人がどう「こだわるか」です。問題を発掘する人になってくれるのか。活動している人たちに対してブレーキをかけ続け、阻害するのみになってしまうのか。

駒崎: よくわかります。社会運動は活動そのものが、容易に「目的化」しうるんですよね。例えば、ホームレス支援の人ってそういう色彩がちょっと強いように感じる。炊き出しなどの支援は非常に重要だけど、一方で「行政と闘う」ことが、ある種のレゾンデートル(存在価値)になっている団体がある。本来の目的はホームレス支援なのに、活動が反行政運動寄りに移ってしまって公安にぱくられる……みたいなケースがあったりして。そういうのを見るにつけ、社会運動の危ういバランスを感じますね。

荻上: そうですね。社会運動を営んでいくためには、正当化したり、駆動していくための理論が必要だと思うんです。ある時期までその「理論の供給源」って、特定の運動体からしかなかったんです。そうした中で「野宿者がご飯を食べられない」という問題に対して、例えば左派から「権力」や「公共圏」という概念が供給されてきたんですね。

駒崎: ああ、わかります。食べられないことや居場所が問題なのに、「立て看板」や「闘争」が表に出てくる。

荻上: うん。「公園は誰の場所でもあるはずだ」といったロジックで強制執行の際に闘う。事情を知らず端から見れば、昔ながらの左翼運動の文法にしか見えないかもしれない。支援が「政治のためにやってるんじゃないか」と思われるのは、そういう観察があるからですよね。

駒崎: どうしても、見てしまいますよね。一般の人は引きますよ。

荻上: よりスマートなやり方で支援を設計する人が、出てくれるんだったら、変わっていくかもしれない。だけど、今そういった人材って、野宿者支援のような生の分野にやってきてくれないんですよね。だから、「古臭い運動」なんて切り捨てられない。その運動がなければ、守れない命があるわけですから。もちろん、他の「反●●」と、諸問題にパッケージしてしまうデメリットもありますが。

駒崎: 困ったもんですね……。『保育園落ちた~』で盛り上がった周辺にも、「安倍死ね」「反原発」「反安保」と結び付けて運動しようとした人たちがいた。そこはちょっと切り分けて、待機児童問題を論じあおうと繰り返し言ったんですけど。何か運動しようとすると、「左翼言説パッケージ」にからめ捕られることが結構あった。

冷静になって考えるとわかるけれど、その言説が運動そのものの推進力を弱めたり、中道を駆動できなくなってしまう要因だったりする。これって、前からそうだったんでしょうかね。

荻上: 昔からそうですよ。問題が、どの運動体と最初に結び付くかでパッケージは構築されていく。蓮池透さんだって拉致問題が政治利用されているのではないかと問うていますよね。そうしたことは、右左関係なく、それぞれの運動体でありますね。宗教、疑似科学、NPO、さまざまなものも含めて「手の差し伸べやすさ」みたいなものはあるわけです。その結びつきを、論壇で書き替えていかないといけませんね。変なものと変なものが結び付いたり、有意義なものと変なものが結び付いたりして、全体として悪しきものに変わってしまうってことは多々あるわけです。

蓮池透さん
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会元副代表。北朝鮮に拉致された蓮池薫さんの兄。著書『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』では、拉致問題を政治利用されたと安倍首相を批判している。

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