ソトコト ソーシャル&エコ・マガジン

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photographs by Rhythmedia inc. text by Kentaro Matsui


音楽を通じてアフリカを好きになったと語る、MISIA。
アフリカと向き合い、さまざまな社会問題の解決を訴えるなか、
セネガルを訪れ、水、コミュニティ、音楽の大切さを伝えた。


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フェリーから眺めるゴレ島。現在は世界遺産に登録されている。

西アフリカ、セネガル共和国。旅の始めに、MISIAは奴隷貿易の悲しみを伝えるゴレ島の『奴隷の館』を訪れた。かつて、奴隷収容所として使われた赤い壁の建物だ。

「怖くて、辛い気持ちになりました。ここから船に乗せられ、世界中へ売られていったその悲しみは、想像を絶するものだったと思います。しかも、何百年も続いた歴史なんです」と、アフリカの深い歴史にふれ、建物の前にたたずむMISIA。心に痛みを残しながら、言葉少なに島を後にして、セネガルの首都・ダカールの郊外にあるメディナ・グナスへ向かった。

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タイバ・ンジャイ村で、ウンミさんが子どもの頃に水汲みをしていた井戸を覗いた。30メートルもあろうかという深い井戸。

メディナ・グナスでは、放課後の学校の教室を利用して農村地域の女性たちに識字教育を行っている現地NGOの活動を見学した。字を学んでいたのは、子どもの頃に学校へ通えず、字を読めないまま大人になった女性たち。歌や寸劇を取り入れたユニークな授業で字を習っていた。教室では識字教育だけでなく、職業訓練や、子どものための健康教育も実施されている。

「水は人間にとって欠かせないもの。体の約6~7割が水分でできていて、それが多く失われてしまうと、下痢症状や嘔吐を催してしまいます。だから、日頃から水分を補給することが大事だということを、とくに子どもを持つ母親に教えていました」と言うMISIA。「そして、体が衰弱している子どもに水分を与えるときは、水と砂糖と塩でつくった経口補水液が望ましく、そのつくり方も学んでいました」。

セネガルでは、今なお学校へ通うことができず、仕事にも就けず、自立できない女性も多いなか、このNGOの教室では識字だけでなく、生きていくうえでの知恵や知識を教えることで、女性の自立を日々の暮らしから支えようとしていた。

タイバ・ンジャイ村にも、識字教育に参加した女性がいた。教室に通い、読み書きができるようになった、ウンミ・ハイリ・ンジャイさんだ。彼女はおしゃれをしてMISIAを迎え、村に残る古井戸に案内した。


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上/村の給水塔。水道代の徴収管理は村民が行っている。下/畑にも水道が引かれ、水汲みから解放された女性たちがオレンジやトマトを栽培し、販売。

「貧しい家庭に育った私は子どもの頃、毎日この井戸の水汲みをさせられました。1日に何十往復も」

ウンミさんが子どもの頃はこの井戸が村の人々の生活の源だったが、JICAによって給水施設が建設され、各家庭に水道が引き込まれたおかげで、女性たちは水汲み労働から解放され、識字教室で字を習う時間を得られるようになったのだ。

国際社会が掲げる「ミレニアム開発目標(MDGs)」では、8つのゴール(貧困の撲滅/初等教育の普及/女性の自立/子どもたちの健康/妊産婦の環境改善/エイズ、マラリアなどの蔓延防止/生物多様性と生活の向上/先進国としての役割)を掲げ、2015年までの達成を目標としている。MISIAは、「安全な水を得られれば健康も改善し、水の供給が安定することで田畑も耕せ、収入につながります。また、水汲みから解放されると、学校へ通う時間が生まれ、字を読み、書くことができるようになり、仕事に就く機会も増えます。収入があれば、子どもを貧しさから救い、衛生で、健康に育てることもできるはず。妊産婦の環境改善にもつながるでしょう。そんなふうに、水問題を一つ解決することで、MDGsが目標とするさまざまな問題の解決へと導かれることに気づきました」と話した。


...全文は本誌最新号(2013年3月号)に掲載!


MISIA みーしゃ
ミュージシャン。長崎県生まれ。1998年にデビュー以来、圧倒的な歌唱力で世界中の人々を魅了する。国連よりCOP10名誉大使に任命。2013年、外務省よりTICAD Ⅴ名誉大使に任命されるなど一般財団法人mudef(http://www.mudef.net)を通じて環境活動にも取り組む。

MISIAのセネガル視察の様子は
2月21日(木)午後10時より
NHK BSで放送予定。

ゴミ、捨てんなよ!

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