伝説の流転企画「憂国呆談」がなんと『ソトコト』で上げ潮進行中! 希代の舌鋒ふたりによる、ロハスな社会のためのクロストーク。 鋭く、ときにゆるく、ときにトリッキーにお届けいたします。

なぜ『ソトコト』か  築地移転は日本の象徴  クリスマスケーキはどうなる?  葉を見て木すら見えない  ウィルスはテロと同じだ!  1億総懺悔?の薬害肝炎訴訟  メタボ撲滅のトンデモ対策  時代が逆行しちゃったアメリカ  東京崩壊に気をつけよ!  3種類になったミシュランガイド  グローバル資本主義の危険性?  日本の農業こそ、危ういぞ 

憂いゴト

薬害肝炎から裁判員制度まで!

2008年1月8日
at 帝国ホテルカンファレンスルーム

時代が逆行しちゃったアメリカ

(福祉をどんどん切り捨てる方向の日本政府。日本の福祉は本当の福祉ではないという話題から、浅田さんが国家のありように切り込んでいく)

浅田:

福祉国家が肥大して破綻した後、新自由主義で弱肉強食もやむなしってことになり、その後で「第三の道」と称して市場をベースにしながら無理なところは政府が補うってことになった。サッチャーの新自由主義の後で、ブレアの「第三の道」が出てきた。もちろん批判的に言えば、資本主義をうまく延命させるために、労働党が変節して、サッチャー以上にうまく資本主義を運営したとも言えるんだけど、確かにうまくやったとは思うよ。イギリスは今、景気もいいしさ。





田中:

でも、イギリスの物価の高さときたら……。ロンドンっ子は忍耐強いなぁと思うけど。


浅田:

景気がよくなりすぎて、世界の資本が流入した。ロンドンなんて、世界の金融エリートの街になっちゃって、地下鉄料金が1000円って感じでしょ。


田中:

公共交通機関とは呼べないぜ。


浅田:

それは異様だけど、「第三の道」がかなりうまくいったことは事実なんだ。ところが日本は、サッチャーと同時代の中曽根改革が不徹底だったこともあり、小泉・安部が四半世紀遅れで新自由主義改革をやることになっちゃった。ほんとは「第三の道」でセーフティネットを整備したりすべきタイミングで、市場原理主義をふりかざして弱肉強食の格差社会をつくりだしちゃったわけよ。まったくのアナクロニズム。アメリカだって、2000年の選挙で何かの間違いでブッシュが大統領になっちゃったために、時代が逆行しちゃったわけだけど。総得票数ではゴアが勝ってたのに。ゴア自身は大統領になれなかったことでむしろノーベル賞を受賞するほどの存在になったんで、個人的には多分そのほうがよかった、しかしアメリカにとってはねえ。


田中:

衆議院では通過した電子投票法の法案が、参議院では反対意見が強くて膠着状態だけど、これも形を変えた無駄なハコモノ行政そのもの。導入した自治体では開票に要する時間が15分早くなったとか総務省は胸を張ってるけど、お馬鹿な話でしょ。冷静に考えてみれば、総選挙があろうと、ひとつの自治体で年に5回も6回も選挙やりませんよ。なのに1台40万円以上もする機械を各自治体が大量に買って、メンテの費用だけでなく、専用回路も繋ぎっぱなしで、NTTに代表される通信会社が儲かるだけ。しかも、プログラム操作できるんだから、不正もし放題。永遠に政権交代を実現させない悪知恵じゃないのかい?


浅田:

アメリカの大統領選挙で不正があったのは明らかだけど、電子投票のログも残っていないって言われたらどうしようもない。むろん、ゴアが大統領になってたら「第三の道」でうまくいってたかといえば、それはわかんないよ。だけど、ブッシュみたいなことはなかったはず。ブッシュが無理やり21世紀の最初に大統領になっちゃったことで、世界史的に相当大きなゆがみができちゃったんだな。 さすがに2008年の選挙では民主党が勝つだろうけどね。ヒラリー・クリントンが有力候補だけど、ブッシュ(父)−クリントン(夫)−ブッシュ(子)−クリントン(妻)というのはどうか。それより新しいヴィジョンをってことで、オバマも上げ潮に乗ってる。いずれにせよ21世紀の最初の8年間の異様なひずみを直す段階に戻ってきたのかな。


田中:

これは今の日本の政治と似ていて、自民党はもう嫌だと。民主党も不甲斐ないんだけど、でも誰がやっても同じなら、1回くらい政権を担当させてみようかと。それに似た空気がアメリカにもあるんだろうね。ヒラリー・クリントンが巻き返しているとはいえ、バラク・オバマ旋風が起こった理由かな。確かにあの声とかも含めて人々に感銘を与える演説だね。でも、彼の主張は、形を変えたモンロー主義みたいな側面もあるんじゃないかな。だって彼の言っていることって、「アメリカは捨てたもんじゃない。アメリカに集う者が心を一つにできるはずだ」って。その根底にあるのは、極めて内向きな発想だよね。決して、「アメリカはもっと謙虚になって、世界のために尽くしていこう」って意欲ではない。 それにしても、あれだけTV・CFも含めて大がかりな選挙をやって、莫大な金額が動いている。これは公共事業ですよ。アメリカにとっては、戦争も公共事業で選挙も公共事業なんだ。で、そこで潤っている連中がいると。オバマだって、日本とは比較にならないほどに多くのお金を投入しているのだろうけど、バブリーなヒラリーと比べると遙かに少ないでしょ。となると、その程度の資金投下で大統領になられちゃったら、WASPもジューイッシュも含めて、選挙公共事業のお金が我々に回ってこないじゃないかと考える連中も出てくると思うんです。しかもイラクから撤退して戦争公共事業も回らなくするのかと。そんなアメリカで許されるのかと(苦笑)。しかも、彼は肌の色も違うし、非キリスト教徒じゃないかと。恐ろしい話だけど、選挙中か選挙後に彼が暗殺される可能性も高い、と懸念する向きもアメリカには多いよね。まったくねぇ。


浅田:

前々回もコリン・パウエルが大統領選に出たら当選確実っていわれてたのに、脅迫があったらしく家族の反対もあって断念してるんだよね。しかしまあ、1960年代まで白人と黒人は同じバスに乗れないっていうような差別があった国で、黒人のパウエルが統合参謀本部議長になり、黒人女性のコンドリーザ・ライスが国務長官になり、今度は黒人のオバマか女性のクリントンが大統領になるかもしれないところまできてる、それはたいしたもんだよ。むろん、まだ先は長いんで、どうなるかはわかんないけどね。誰がなってもブッシュの後始末は大変なんで、むしろ次期も共和党の大統領に後始末をやらせるべきだっていう冗談もあるけれど。



前の呆談 次の呆談>  ページの先頭へ
なぜ『ソトコト』か  築地移転は日本の象徴  クリスマスケーキはどうなる?  葉を見て木すら見えない  ウィルスはテロと同じだ!  1億総懺悔?の薬害肝炎訴訟  メタボ撲滅のトンデモ対策  時代が逆行しちゃったアメリカ  東京崩壊に気をつけよ!  3種類になったミシュランガイド  グローバル資本主義の危険性?  日本の農業こそ、危ういぞ 
Copyright (c) 2007 Sotokoto.net All Rights Reserved.