伝説の流転企画「憂国呆談」がなんと『ソトコト』で上げ潮進行中! 希代の舌鋒ふたりによる、ロハスな社会のためのクロストーク。 鋭く、ときにゆるく、ときにトリッキーにお届けいたします。

なぜ『ソトコト』か  築地移転は日本の象徴  クリスマスケーキはどうなる?  葉を見て木すら見えない  ウィルスはテロと同じだ!  1億総懺悔?の薬害肝炎訴訟  メタボ撲滅のトンデモ対策  時代が逆行しちゃったアメリカ  東京崩壊に気をつけよ!  3種類になったミシュランガイド  グローバル資本主義の危険性?  日本の農業こそ、危ういぞ 

憂いゴト

薬害肝炎から裁判員制度まで!

2008年1月8日
at 帝国ホテルカンファレンスルーム

1億総懺悔?の薬害肝炎訴訟

対談場所に最初に到着したのは浅田さん。ほどなく田中さんが現れて、ドアが閉まるやいなや、椅子に腰かけるのももどかしい様子でふたりの呆談が開始された。先制は田中さん。まずは一大ニュースとなったこの問題から。

田中:

薬害肝炎訴訟が一応の「解決」に至った、と新聞・TVは能天気に報じているけど、実は輸血血液供給に関して日本は深刻な状況にあるんだ。他人の血液を輸血することでの感染リスクを防ぐために、最近では手術前に自己血を採るでしょ。ところが各都道府県で血液センターを運営している日本赤十字社は、個人の血液を赤血球や血小板、血液の凝固に関わるフィブリンと呼ばれる繊維素に分離する作業を受け付けていないんだ。
どういう意味かというと、手術すると赤血球が減少するから、本来は赤血球だけを補充する。止血する成分はフィブリン糊だから、大量出血の際に自分のフィブリンを出血個所に用いたほうがよい。なのに、不特定多数から集めた血液で止血剤は作られるべし、と日本は時代遅れなの。仮に他人の血液から製造されたフィブリン糊を用いる場合でも、ヨーロッパのみならずシンガポール、タイ、べトナムといったアジア各国でも病原体不活化と呼ばれる技術を導入して、ウィルスや細菌の汚染を防いでいる。でも、年間60億円も費用がかかるから日本はできません、と厚生労働省は言い張ってるの。おいおい、1時間に66億円の速度で借金が増え続けている放漫財政の、たった1時間分を節約するだけで導入可能なんだってば。HIV感染者が献血をしても、性的感染後3週間は陽性反応が出ない。その血液から今後も止血剤が作られる。恐ろしい話でしょ。
「司法や行政の枠内では限界がある」と首相の福田康夫が自ら決断しなかったのにも呆れたよ。君は日本の最高責任者でしょ(苦笑)。で、「議員立法しましょう」と議員に丸投げした。つまり福田も舛添要一も自分で責任を取りたくないから、「誰の責任でもない、1億総懺悔です」と、そういうことにした。今回の法律で救済されない人々に関しては、自民党だけでなく共産党も仕方がないと判断したんですよ、という姑息な居直り。しかも諸悪の根源のミドリ十字が今でも、田辺三菱製薬と名前を変えて生き延びてる。会社を解散させて、その全資産を補償に使うべきでしょ。





浅田:

ハンセン病問題で、小泉純一郎元首相が控訴を断念し、政府の責任を認めて謝罪した、あれは実は官房長官だった福田の支えがあったからこそできたんだよ。ただ、あの「英断」は、ハンセン病患者の数が限られてて今後も増えないという安心感があったから可能だったんで、薬害肝炎はどこまで広がるかわからないから、政府もそう簡単に責任を認められない。血液のことを突っついていくと、肝炎やHIV以外にも、いろいろ出てくる可能性があるし。


田中:

だからこそ、これから発生する危険性を防ぐのが政治であるべきで、そうでないと前回も言った、「葉を見て木すら見えない」、あるいは、「葉の中の点しか見えていない」ことになっていく。葉の全体が見えないから、葉の他の部分の虫食いが見えていない。


浅田:

いや、これは余談なんだけど、レーニンが過激派として排斥したボブダーノフというのがいてね、彼が言ったのは、輸血によって、血を共有することによる共産主義っていうのがあったの。


田中:

それは石原慎太郎だって、青嵐会をやったときに血判状なんか作っちゃって、誰も病気を持っていなかったかっていう話でもあるよね。


浅田:

HIV問題のときに分かったように、戦争中、生物化学兵器を研究してた731部隊なんかの系譜がミドリ十字から田辺三菱にまでつながってる。その連中が売血で肝炎を広め、その後も薬害エイズや今回の薬害肝炎を引き起こした。そういう構造を徹底的に洗い出さないと。そもそも薬害エイズのときに「洗い出せ」と言ってたはずなのにダメだったんだね。当時の厚生省の課長クラスまでは裁判に問われたんだけど……。


田中:

その上司で局長だった持永和見は、その後、宮崎県選出の衆議院議員になっているんだよ。いやはや。


浅田:

彼と後任の局長はともに社会保険庁長官も務めた。同じ無責任体制が薬害と年金問題を生み出したわけだ。


田中:

薬害エイズ問題では、帝京大学の安部英が極悪人だと糾弾されたけれど、実はエイズ研究班の班長だった安部は当初「非加熱製剤は危ない」と全面的に反対していたんだ。一方、非加熱製剤はノープロブレームと言い張ったのは、サーベイランス委員長だった順天堂大学の塩川優一。で、都合が悪いミドリ十字や当時の厚生省は安部を懐柔しようと、彼専用の部屋を提供したり、研究費用を膨大に渡したのね。その物量作戦に負けて宗旨替えした安部だけが悪者となった。ホントに悪い奴は他にもいるんだ。



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