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伝説の流転企画「憂国呆談」が『ソトコト』でサステイナブルに展開中!
帝国ホテルのコンファレンス・ルームより、希代の論客ふたりが送るロハスな社会のためのクロストーク。
今回は例の日本語版ガイドブックから、給食をめぐる、日仏間の相違まで、憂国的食育論が飛び交います。
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憂いゴト
ミシュランから食育まで!
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2008年1月8日
at 帝国ホテルカンファレンスルーム
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日本の農業こそ、危ういぞ
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田中: |
先月号で特定栽培農作物の話をしたけれど、その後に判明したもっと凄い話があってね。たとえばほうれん草は、それほど農薬を使わなくても育つ、比較的強い野菜なはずでしょ。この資料は富山県のものでね(といって資料を出す)、各都道府県のホームページにアップされているから読者の皆さんもチェックしてほしいんだけど、富山の場合ほうれん草への投与回数は従来からの慣行使用だと5回なの。で、特定栽培農作物はその半分の2回。だけど、ナスは31回と15回、トマトも24回と12回。キュウリが20回と10回。おいおいでしょ。農林水産省が音頭を取って特定栽培農作物の生産者に支援を始めたんだから、今すぐにすべての農家で使用量を半分にすればいいのに、農水省はモデルケースと称していて、こうした農家は現段階では10%もいないわけ。じゃあ、将来どのくらいの割合にするんだって聞いたら、5年間で20%にするって悠長なこと言っているんだ(苦笑)。アトピーが社会問題化して久しいのに、誰を向いて行政指導してるんだ、消費者か農業団体かって、笑って済ませられない話なんだけどね……。で、もっと衝撃的なのは、ほうれん草に残留する農薬のデータがあってね。2分間茹でて、それを10秒間水にさらした場合に、クロルピリホスってのは、83・6%も残留したままだっていうんです。その他にもシベルメトリンってのが61・6%、フェンパレレートってのが71・4%、プロチオホスってのが76・4%。群馬県食品安全検査センターが平成17年に調べたデータです。それで、このクロルピリホスってのが何かっていうと有機リン酸系殺虫剤で、農業としての用途のほかシロアリによる建物への被害を防止する効果もあると。だけど、シックハウス症候群の原因のひとつだと判明して、平成14年7月の建築基準法の改正で建材への使用が禁止されたんだよ。なのにいまだに農薬としては使われていて、ほうれん草を茹でた後でも83・6%残留しているっていうんだから賞味期限偽装食品どころの話じゃない。
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浅田: |
ヨーロッパなんかだと、市場に行けば曲がったキュウリでも量り売りしてて、新聞紙に包んでくれるわけでしょ。確かに人手がかかるとはいえ、それこそがスローライフってものだと思うよ。スーパーマーケットで大量かつ迅速に処理するために、曲がったキュウリは全部捨てるとか、一定以上あるいは一定以下のトマトを全部捨てるとか、そもそもそこからして間違ってる。
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田中: |
まったくだ。効率至上主義。トマトの場合も箱にS、M、L、LLの大きさでスタンプが押してある。秀、優、良のスタンプは傷の有無と色合い。偏差値教育と一緒だよ、そういう評価は。求めているのは、旨いかどうか。もっと大事なのは、安全か安全でないか。ところが、そうした表示は何もないわけだからね。逆に中国からすら馬鹿にされかねないトンデモ話。
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浅田: |
中国がああなったっていうのも、日本のそういう需要を満たそうとしたからっていう見方もできるわけでね。
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田中: |
で、農薬の大量撒布はおかしいって言うと、だから遺伝子組み換え農作物なら農薬フリーでノー・プロブレームなんてトンデモな主張をする御用学者やジャーナリストがいるけど、違うだろって。美味しいトマトだからこそ虫が食べた跡もあるんだ。曲がってるキュウリだから自然なんだと。でもね、僕が知事時代で学校給食にこうした地域食材の日を導入した時に、一番反対したのが給食のおばさんなんですよ。ジャガイモの大きさの違うのを持ってこられたら効率が悪いって。同じ大きさじゃないと朝からの短時間で給食は作れないって。でも、それで失っているものは多いぞ。
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浅田: |
まったくそのとおり。
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田中: |
給食といえばね、イヴ・デュテイユというシャンソン歌手がいて、僕との対談でガラス張り知事室にも来たんだけど、この人は、パリ郊外のプレシー・シュル・マルヌっていう、人口500人の村の村長でもあるんです。フランスは自治体の8割が人口1000人以下の町村。こうしたコミューンというかコモンズが連携している。で、彼の村でも隣接する3つの町村で子供たちの給食を共同で作っている。でも哲学と発想が全然違うのは、日本は給食センターを設けて、そこから各学校にサプライする。向こうでは3つの町のちょうど真ん中にある村の学校に隣接して食堂を設けて、地域の女性がそこで給食を作っている、残りの2つの小学校からはスクールバスに15分くらい乗って、昼食を食べるためにやってくるんです。昼食時間は1時間半ぐらいで、3つの学校の子どもがお喋りしながら一緒にご飯を食べる。作っているおばさんが料理を出しながら、いかに体に良くて美味しい献立かを説明するから、嫌いなセロリでも食べちゃうんだな。日本は給食センターから届くから残飯の量は多くなる。つまりサプライサイドの都合なのか、コンシューマーの希望なのか。統廃合の発想が、個人に立脚しているのか、組織に立脚しているのかで、全く逆転しているわけね。これは凄いなと思ったよね。
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浅田: |
日本だと、悲しいかな、給食センターになっちゃうんだよね。今頃になって政府も食育とか言ってるけど、結局は人手と時間をどれだけかけられるかってことだよ。ホントにロハスな生活を目指すなら、その辺から腰を据えてかからないと。
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