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昔、中央コスタリカで聞いた話。かの国では摩訶不思議な物体が密林から見つかっている。ほぼ完全な球体の石玉が大小200個以上。実物を見たらホンまんまるで驚いた。再大円周8メートル、あまりのマルっぷりの良さゆえ「宇宙人作」とも言われるが、いつ誰がなぜ作ったのかわからない。「その謎が面白い!」と、日本の某局が某芸術家先生を旅人にその「まん丸石」のルポを撮りに行ったらしい。そこでDは聞いた「先生、どうしてこんなにまん丸にしたのでしょうか?」答えに窮した先生曰く、「こう作りたかったんでしょ。」それを聞いて「うーん心理かも!」と唸ってしまった。「芸術は爆発だ!」とは、今は亡き大家の言だが、「爆発」=「やってみたい衝動」であるなら実に分かりやすい。絵だろうと彫刻だろうと最初は「こうしてみたかった」。ならばなぜか腑に落ちる。何事にも気難しい自分が素直に芸術を見られるようになったきっかけがそれだった。 で、芸術といえばルネサンスの都「フィレンツェ」だ。中世末期のイタリア、大儲けした豪商たちが投資した芸術だらけの街。無数の芸術家の中にミケランジェロやダ・ヴィンチもいた。面白いことに当時、彫刻にも絵画にも操作の依頼の際には発注書が必要あったという。「○○の記念にいくらで何を描いてくれ」なんていう具合だ。だから個々の作品におけるモチーフ、動機は結構明快だ。 さて、膨大な絵画コレクションのあるウフィツィ美術館に、1.7メートル×2.7メートルもの大作、ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』がある。華麗な色彩と繊細な描線からなるヴィーナスの表情は、誰もが一度は見たことあるだろう。ところが、そんな名作を、いつ誰が発注したのかわからないらしい。何をモチーフになぜこう描いた? 考え出したらかなっりな難題だ。で、こう考えてみた「こう描いてみたかったんじゃないの?」……でかい絵画の前で数十棒。やっぱり名作たるもの、そう簡単にはいかなかった。
(TBS系で毎週日曜午後6時より)
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