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田中康夫と浅田 彰の憂国呆談2

COP15のコペンハーゲン合意から、事業仕分け後の政治の在り方、普天間基地の行方まで! photographs by Yusuke Abe   text by Kentaro Matsui

今回の憂国呆談は、兵庫県尼崎市にある田中氏の事務所で行われた。来客用の白いテーブルに置かれた、刷り上がったばかりの『ソトコト』2月号に目を通しながら、田中氏が「さて、今日は何をテーマに話そうかな」と声をかける。そこで、太陽光エネルギーの特集に目を留めた浅田氏が、2009年12月にデンマークで開催されたCOP15(気候変動枠組条約第15回締約国会議)の話題をまずは俎上に載せた。

浅田:

1997年に京都でCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)が開催された後、当時の最大の温室効果ガス排出国だったアメリカが京都議定書から離脱した。今回のCOP15では、最大の温室効果ガス排出国となった中国をはじめ、それに追随する多くの発展途上国が先進国の提案に反発した結果、「コペンハーゲン合意」を採択することができずに、「合意に留意するという決定を承認する」という努力目標だけで終わってしまった。

アメリカなんかに言わせると、百数十か国も参加する国連でいつまで経っても終わらないような交渉を続けていても法的拘束力のある合意はできっこない、と。お前に言われたくないって感じだけどね。

田中:

会議に参加する国の数が多すぎるのかな。アメリカはもともと、温室効果ガスの削減には後ろ向きだし。

浅田:

委員会方式で、少数の国で詰めた案を最終的に全体で承認するという方法しかないと思うけど、開催国のデンマークも根回しが下手で、最初に合意の草案を先進国だけに回したものだから途上国が一気に反発してしまった。あれは失敗だったね。

でも、デンマーク自体は環境先進国で、風力発電なんか目を見張るものがあるよ。海上には莫大な数の風力発電施設がつくられてて、国内の電力供給量の2割近くを発電してるらしい。それからスペインなんかも、あっという間に太陽光発電大国になったよね。そういえば日本でも、大阪湾の埋め立て地をソーラー発電所にするという案を耳にしたことがあるな。

田中:

堺市にできるメガソーラー発電所ではなくて?

浅田:

どう転んでも大阪にオリンピックは来ないだろうし、オリンピックを当て込んで大阪湾を埋め立てた夢洲や舞洲は使い道がない。だったら、かなりの部分を巨大なソーラーパネルで覆い尽くしたらどうか、と。

田中:

年末にTV番組で一緒になった大阪府知事の橋下徹は、埋め立て地に巨大カジノを誘致したいと力説していたけど、その建物をメガソーラー発電所化しちゃうのはアリだね。とまれ、トップダウンでやるしかないんだろうね、この手の取り組みは。

浅田:

COP15直後で、国際的な規制がすぐには望めない状況では、グリーンエネルギーの開発と普及が市場の競争の中で進むのを期待するほかない。実際、それはいまいちばん発展の可能性の高い新たな産業なんだから。政府としても、税金や補助金で経済をそちらへ誘導すべきだと思う。COP15には非協力的だった中国なんかも、実は国を挙げてまさにトップダウンでグリーンエネルギーへのシフトを進めつつあるわけだし。結局は、国家や企業の生き残り競争なんだよね。

田中:

自由経済の中でやりなさいといってもたぶん踏み出さないんだから、具体的に場所をつくって、そこで稼がせる。実は、外貨欲しさに他国の産業廃棄物を受け入れて、河川や土壌の汚染が深刻化しているのが最近の北朝鮮。とするなら、その場所として、北朝鮮というのもあるんじゃないの? 善くも悪くも、トップダウンで一刀両断可能な国家でないとエネルギー革命はできないような気がするな。

田中 康夫

田中 康夫 たなか・やすお
1956年東京生まれ。一橋大学法学部卒業。大学在学中に『なんとなく、クリスタル』で文藝賞受賞。長野県知事、参議院議員を経て、衆議院議員。新党日本代表。

浅田 彰

浅田 彰 あさだ・あきら
1957年兵庫県生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程中退。京都造形芸術大学大学院長。83年に出版されたデビュー作『構造と力-記号論を超えて』はベストセラーに。

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