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田中康夫と浅田 彰の憂国呆談2

政権交代から臓器移植と人の死の定義、新製品の不具合品まで!

東京都議選の結果も出て、与党と野党の形勢に誰もが注目する現在。それぞれにかわいくポップなエコバッグを提げ、田中・浅田両氏が合流。対談の始まりは、やはり解散総選挙と田中氏の兵庫8区からの衆院選出馬について。憂うべき政局はどちら方面に進むの?

田中:

総選挙の投票日が8月30日の日曜日で決定。夏休み最後で子どもの溜まった絵日記も仕上げなくちゃいけないから家にいて、逆に投票率が上がるとも考えられる。

浅田:

加えて、兵庫8区の尼崎市で田中さんが出馬を表明した。

田中:

「世をおさめ、民をすくう」という意味の経世済民を望んでいる有権者が多いのに、その人たちの支持を得ながら、霞が関の官僚に操られて、富国強兵な公共事業の代弁者のような発言と判断を行う政治家が大半な、今の政治を変えないと。明治維新が日本の開国だったなら、1940年体制のシステムを一新する日本の「改国」でないと。そうした象徴的な選挙戦にしたいね。 大阪から尼崎を経て神戸へと至る阪神間は、拙い文章を書き、自由に発言をしてきた僕に、信念と行動力の有言実行者たれ、と大震災を通じて目を見開かせてくれた場所だから。

浅田:

今回の総選挙は政権交代の可能性が高い。本来、何かを目的として政権交代を目指すはずなんだけど、そこまで期待もできないから、とにかく末期的な自民党政権を一度リセットするための政権交代というのが自己目的化してる。まあしかし、一度はそこから再出発せざるを得ないんだろうな。

田中:

4月に行われた名古屋市長選にはじまって、さいたま市や千葉市、静岡県も含めて、民主党系候補が当選したのは、兎にも角にも自民党が嫌だ、官僚や天下りは嫌だと国民が思っているから。まさに「官僚統治」への嫌悪感。だけど、民主党が中心の政権交代が「組合統治」になりはしないか、との不安感もある。だって、麻生太郎内閣の支持率が18%で国民の信任を得ていないと言うけど、働く人々の中で労働組合に加入しているのも18%で組合も信任されていない。なのに、労働者の代表のように振る舞う「官公労」や「自治労」の労働貴族への違和感を民主党は、どう捉えるのか。

百貨店のファッション売り場は、アパレルメーカーのハケン社員が大半。百貨店規模の政党である自民党も民主党も、前者は各種業界団体ハケン議員、後者は各種労働組合ハケン議員だからね。世論調査で特定の支持政党なしが再び3割台に増えているのは、こうした嫌悪感、違和感だよね。この間の東京都議会議員選挙の結果も、地方の人々にとっては自民党でなく民主党に入れても良いんだという自信につながっただろうけど、逆に東名阪の都市部の無党派層にとっては、小泉チルドレンと同じような面々を選びすぎちゃったなぁ、と反作用として働くかもしれない。いずれにせよ、来年の参議院選挙は衆参同時のダブル選挙になって、そこでさらに政界は再編されていくのだろうね。

浅田:

1954年に吉田茂の自由党政権が行き詰まって解散もできずに鳩山一郎の民主党政権に代わり、そのあと55年に保守合同で自由民主党ができた。55年経って孫たちが似たような政争を繰り返してるわけで、国民がうんざりするのも無理はない。とりあえず、この後に本格的な政界再編が起き、新自由主義、福祉国家、あるいは「第三の道」といった理念を掲げた二、三の党に分かれるのを期待するしかないね。それにしても、自民党は地方のポピュリスト知事を抱き込んで人気取りをする程度のことしか思いつかず、しかもそれに失敗してるんだから、どうしようもない。大体、青島幸男から田中康夫までリベラルだったのに、宮崎の東国原も大阪の橋本も露骨な右翼でしょう。

田中:

東国原は、知事たる権限は微々たるものだから中央に行かなきゃいけないと言うけど、とんでもない。知事くらい権限が強大な存在はない。47分の1どころか、1分の1として人事はできるし、予算も立てられるし、条例をつくることもできるのであって、だから石原慎太郎は、知事ほど楽しいものはないと言ったわけでしょう。まあ、彼はマンゴー売りしかできなかったということだね。逆に言えば、入札改革も教育改革もしないから、既得権益の利権団体や県職員からすれば、大歓迎だろうけど(笑)。

田中 康夫

田中 康夫 たなか・やすお
1956年東京生まれ。一橋大学法学部卒業。大学在学中に『なんとなく、クリスタル』で文藝賞受賞。長野県知事、参議院議員を経て、衆議院議員。新党日本代表。

浅田 彰

浅田 彰 あさだ・あきら
1957年兵庫県生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程中退。京都造形芸術大学大学院長。83年に出版されたデビュー作『構造と力-記号論を超えて』はベストセラーに。

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