ソトコト ロハスピープルのための快適生活マガジン

ワイル先生の手紙、関谷先生の手紙 健康への案内状

ソトコトで連載中の「健康への案内状」。web版では、誌面では掲載しきれなかった、ワイル先生の手紙の全文を公開します。

QUESTION

朝食のとり方について、教えてください。

拝啓
ワイル先生


食事の内容に関しては、オリーブ油が良いとか野菜・果物が良いなどの多くの専門家の意見があります。食事の量のバランスに関してはどうでしょうか?

特に朝食は重要であるとの意見が多いのですが、そのとり方に関しては、さまざまな意見があるようです。日本の厚生労働省の見解では、三食バランスよく(均等に)ですが、あるインドのヨガの先生は非常に少なめ、ある中国医学の先生は朝食を三食のうちで最も多く、ある日本の先生は水ぐらいでよい、と意見がさまざまです。

哲学者のカントも朝食は軽めであったとのことです。個々人により朝食のとり方には差はあるかと思いますが、食事のバランスについて、先生はどのようにお考えでしょうか? ちなみに私は、朝は子供の世話など、なんだかんだと忙しくて朝食をとらなかったりすることがたまにあります(笑)。

草々
関谷 剛

ANSWER

朝食メニュー例を初公開!

関谷先生


アメリカでは、時間がないとか、起きた時空腹でないとか、必要と思わないなどで朝ごはんを抜かす人が大勢います。朝食は、一日で一番大切な食事と言われますが、それを裏づける科学的証拠は多くありません。ただ、明らかに毎日朝食を取るべき人もいます。とくに子供、そして血糖値に問題のある人は、大人でも若者でも朝食を摂るべきです。健康な成人についていえば、朝食がすべての人に必要とはいえないかもしれません。習慣や自分の好みを参考にするといいでしょう。朝食を食べる人が、そうでない人より、学校でも仕事場でも生産的であるという研究結果があるものの、朝は空腹でなく、エネルギーにあふれ、日々のことをこなせると感じるなら、食べたくないのに朝食をとらなくてはいけない理由はないのです。

私個人の好みとしては、いい朝食で一日をスタートしたいです。一日を開始するのに必要なエネルギーをくれると思いますから。私の典型的な朝食は、一杯の抹茶、解凍した有機ベリー、オーブンで焼いた豆腐かスモ?クサーモンを載せた全粒粉のパン一切れです。時には前日の残り物を食べます。必ずしも典型的・習慣的な朝食を摂る必要はないのです。

私は、一般的なアメリカの朝食に出てくる物の多くを好きだと思ったことがありません。たとえばホットケーキ、甘いロールパン、揚げたポテトなど食べると気分が悪くなります。ご飯、焼き魚、味噌汁、漬物、海苔、緑茶といった日本の伝統的な朝食をとったほうがずっと気分がいいのです。朝食に、フルーツ、ナッツ、新鮮なチーズ、オリーブを食べるのも好きです。いろいろ試してみたらいいと思います。自分の好きな食べ物は何か、朝、とくに仕事に急いで出かける時に準備しやすいか、どんな朝食をとったら自分の調子が一番いいか考えてみてください。

朝食を食べるメリットでひとつはっきりしていることは、3食食べると1日の必要栄養量を摂取しやすくなるということです。1995年の“Journal of the American Dietetic Association”に掲載された論文によると、朝食を食べる人はそうでない人に比べ、平均して、葉酸は68%、ビタミンAは54%、ビタミンCは50%,食物繊維は40%、鉄は40%、ビタミンEは38%、カルシウムは37%、より多く摂取できるということです。その上、体重を気にしていて、痩せたい(または、太りたい)と思っている人にとっては、朝食を食べることでカロリーや一日の食事量をコントロールしやすくなります。朝食べないと昼食や夕食で食べ過ぎたり、後で非常にお腹が減って高カロリーのスナック菓子に走ることになりがちです。しかし、朝一番に食べたくなかったり、1日の摂取カロリーをきちんとコントロールできるなら、朝食を抜いても体重管理に差し支えないかもしれません。栄養士で、本も書いているマリオン・ネスル博士は、「脂肪代謝酵素はひと晩で無くなってしまうわけではなく、いろいろなパターンの食物摂取に対応できる」と言っています。博士はまた、「カロリー自体が真の問題なのであり、いつ食べるかは問題ではない」とも付け加えています。ネスル博士は朝食をとりません。博士の最新の著書『What to eat』(North Point Press,2006)を読まれることをぜひお勧めします。

朝食を摂る方に私がお勧めするのは、1日の全摂取カロリーの内、脂肪から30%、タンパク質から20%、炭水化物から50%を得ることです。なるべくグリセミック指数(GI)の低い炭水化物から摂取するのが好ましいです。この指数は、血糖値(ブドウ糖)に与える影響の度合いを示すもので、多くの人に重要です。指数の高い食物を多く摂ると血糖値が急上昇します。そういったことが繰り返されると次第に体の中でインシュリンに対する感受性が低くなります。インシュリンは、血糖が燃料として細胞に吸収されるのを促進するホルモンです。インシュリン抵抗が起きると、肥満や高血圧、血液中の高脂肪値を誘発し、II型糖尿病のリスクを高めます。GIは、ヘルシーな炭水化物の取り方のガイドとしてもお勧めです。一般論として、この数値の高い炭水化物を頻繁に食べること、たくさん食べることは避けてください。GIについてはネットで探すといくつか出てきますが、このサイトが一番充実しているようです。
http://www.mendosa.com/gilists.htm

以下、適切な量の脂肪とタンパク質、GIの低い炭水化物が摂取できる朝食の例です。どれも素早く簡単に作れます。大豆シェイク、固ゆで卵、フルーツとナッツ入りヨーグルトなど、持ち運び可能なものもあります。前の晩に用意しておくことができますし、仕事や学校に行く途中で食べることもできます。

●カルシウム強化豆乳とフルーツを入れた全粒粉のシリアル:大豆はイソフラボンを含んでいます。イソフラボンは骨を作り、コレステロールを下げ、癌のリスクを軽減するのに役立つ物質です。もっとも栄養価の高いフルーツはキウィ、マスクメロン、パパイヤ、マンゴー、ブルーベリー、イチゴ、バナナです。オメガ3脂肪酸を取るために、スプーン1杯の亜麻の種を擂りつぶし、上にかけてください。

●大豆シェイク(絹ごし豆腐半丁、リンゴジュース2分の1カップ、冷凍の有機イチゴ1カップ、バナナ1本をミックスする)

●新鮮なフルーツ、スクランブルエッグか豆腐、全粒粉パンのトースト

●フルーツジュース、フルーツのスプレッドを塗った全粒粉のワッフル、豆腐ソーセージ

●新鮮なフルーツを入れた無脂肪ヨーグルト、バナナブレッドかカボチャマフィン
(バナナブレッドやさまざまなマフィンの作り方は私のサイト、http://www.drweil.com/に載っています)

●固ゆで卵(いくつか前もって作っておいて、冷蔵庫に入れておけばよい)か、全粒粉パンのトーストに載せた卵白だけのスクランブルエッグ。それにコップ1杯のカルシウム強化オレンジジュース、無脂肪のプレーンヨーグルト。自分なりのフルーツやグラノーラを加えてください。

●新鮮なフルーツ、豆乳で作ったオートミール

●新鮮なフルーツ、アーモンドバターを塗った全粒粉パンのトースト(私はアメリカ人の好きなピーナッツバターよりアーモンドバターやカシューナッツバターのほうを好みます。脂肪酸の質が優れているためです)

ところでアメリカで一般的な朝の飲み物であるコーヒーの代わりに、緑茶を飲むことをお勧めします。緑茶は癌や心臓病を予防してくれます。

草々
Andrew Weil

関谷 剛

関谷 剛 せきや・たかし
1968年東京生まれ。医学博士。東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科、同大学医学部漢方生体防御機能学、独立行政法人医薬品医療機器総合機構などに勤務。主に、アレルギー、リウマチの免疫学を研究している。

Andrew Weil アンドルー・ワイル

Andrew Weil アンドルー・ワイル
1942年アメリカ・フィラデルフィア生まれ。医学博士。アリゾナ在住。アリゾナ大学医学校・統合医療プログラム部長。西洋医学と代替医療を統合する「統合医療」の第一人者。「ナチュラル・メディスン」「ヘルシーエイジング」など著書多数。
オフィシャル・ホームページ
http://www.drweil.com/

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