ソトコト ソーシャル&エコ・マガジン

福岡伸一の生命浮遊

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vol.96 老化とは何か

前回触れた早老症の問題をさらに掘り下げて考えてみたい。老化は年齢を重ねるとともに徐々に起こる複雑で、多面的な現象である。顔にしわができ、皮膚がたるみ、猫背になっていく。外見上の変化だけでなく、代謝回転が遅くなり、循環不全が起こり、骨密度が低下する。しかもこれらの変化は時間の関数として推移するので、観察や解析も簡単なことではない。個人差も大きい。

vol.95 早老症の解明

ウェルナー症候群、あるいはコケイン症候群と呼ばれる不思議な病気がある。奇妙な病名は、それぞれ発見者の名前に由来する。老化現象が極端に早く進んでしまう早老症である。まだ若いうちから(症例によっては子どものうちから)、老人特有の見かけや症状が出る。皮膚に皺が寄り、白髪になり、白内障や骨粗鬆症を呈する。

vol.94 ハツカネズミと人間

引き続き、呼吸というものについて考えてみたい。呼吸とは生物個体にとっては、息を吸う・吐く、という行為(特に陸上の動物と鳥類にとっては肺の運動)であるが、細胞レベルに降りると、呼吸とはエネルギー生産、つまり栄養物を酸素と結びつけ、その酸化反応からエネルギーを得る、という行為である。

vol.93 肺の発明

空気中から直接、酸素を取り込む。肺の発明は、生物の進化のうちでも最大の発明の一つである。それまでは水中に溶け込んだわずかな酸素を利用するしか方法がなかった。水流から酸素を漉しとる。鰓(えら)呼吸。だから生物は長いあいだ水中から出ることができなかった。

vol.92 ウーパールーパーの場合

エピジェネティクスとネオテニー(幼形成熟)についてもう少し考察を進めてみたい。ネオテニーとは、動物がその外見的な形態や行動のパターンに、幼生や幼体の特徴を残したまま、成熟することを指す生物学用語である。ネオテニーは、どのようなしくみで起こるのだろうか。

vol.91 ヒトはサルのネオテニー

脳でスイッチがオンになる一群の遺伝子は、チンパンジーよりヒトで、作用のタイミングが遅れる傾向が強い。つまり脳のある部位に関していえば、ヒトはチンパンジーよりもゆっくり大人になる。ヒトはチンパンジーよりも長い期間、子どものままでいる。そういうことになる。

vol.90 ヒトはチンパンジーよりも

ヒトとチンパンジーのゲノムを比較すると98%以上が相同で、ほとんど差がない。では残りの2%足らずの情報の中に、ヒトを特徴づける特別な遺伝子があり、その有無がヒトをチンパンジーとは異なる独自の生物にしているのだろうか。おそらくそうではない。DNA情報におけるこの2%足らずの差というのは、特別の遺伝子を持っているか、いないか、といった質的な差ではない。

vol.89 ボディビルディングとキリンの首

環境からの刺激に応答して生物の仕組みが適応的に変化する。あるいは繰り返し入力があることに対して身体の状態がつくり替えられる。これはあたりまえの生命現象である。たとえば、アスレチッククラブに通い詰めて一生懸命トレーニングをすると筋骨隆々になる。

vol.88 ダーウィンの転機

フランスの孤高の生物学者ジャン・ラマルクの著書『動物哲学』が出版されたのは1809年。この同じ年、チャールズ・ダーウィンはイギリスに生まれた。ダーウィンはラマルクを読み、生物の可変性についてラマルクが先駆的な考えを述べたことをきちんと評価した。

vol.87 ジャン・ラマルク

DNAの配列情報が、タンパク質の配列情報に反映される。そしてDNAとタンパク質の情報の記述法、つまりDNAの文字(ヌクレオチド)とタンパク質の文字(アミノ酸)の対応が、基本的にはすべての生物で共通であるという事実は、生物の多様性が単一の生命の起源から出発し、その文法をずっと継承していったことを示唆している。

ゴミ、捨てんなよ!

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