ソトコト ソーシャル&エコ・マガジン

福岡伸一の生命浮遊

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vol.105 レーウェンフックとフェルメールの交友関係

少年だったある日、私は両親に顕微鏡を買ってもらった。顕微鏡とはいうものの、今から考えるとそれはおもちゃに近いものだったと思う。百貨店などに売られている教育用の顕微鏡。それでも接眼レンズと異なる倍率の対物レンズを備えた顕微鏡は、数十倍から100倍の倍率を持っていた。

vol.104 シングルレンズの愛

アントニ・レーウェンフックは、自分の顕微鏡についての技術を注意深く秘密にしていた。噂を聞きつけて訪れる客をできるだけ避けていた。限られた見学者に対して自分の顕微鏡を見せることはあったが、わざと性能の劣る見せかけの顕微鏡を見せて、最高倍率を発揮するほんものの顕微鏡のほうは厳重に秘匿していた。

vol.103 ブールハーフェ博物館 ~レーウェンフックの顕微鏡~

アントニ・レーウェンフック、およびヨハネス・フェルメールのふるさとオランダ・デルフト市の北にライデンという小都市がある。日本では、シーボルトゆかりの都市として知られるライデン。ここはとても清潔で端正な街である。石畳の小道。運河を行き交う平船。釣り糸を垂らす老人。

vol.102 ロバート・フックとレーウェンフック

17世紀は不思議な時代だった。それはある意味で、覚醒であり、パラダイムシフトだった。科学革命の1世紀だった。だから17世紀は必然の時代だった、というべきなのかもしれない。パラダイムシフトをもっとも端的に象徴するものはレンズである。光を曲げ、熱を集めるレンズ。

vol.101 好奇心のレンズ
レーウェンフック評伝

不思議な絵がある。17世紀も終わりを告げようとしていた1694年、オランダの科学者ニコラス・ハルトソーケルが描き出した精子の観察スケッチ。丸い頭部と長く尖った尾をもった精子。なんと丸い頭部の中には、子どものような小人が、ちょんと体育座りをして硬くちぢこまっている。

vol.100 福岡伸一のレンズ1
顕微鏡

17世紀、光の天才画家ヨハネス・フェルメール。わたしはフェルメールの大ファンである。フェルメールおたくといってもよい。フェルメールの作品に魅せられて、世界各地の美術館を巡礼した。そして夢想した。この数々のフェルメール作品をすべて一堂に集めて、その前を行きつ戻りつしながら、フェルメールの全人生を追体験できるような空間が造れればどんなに素晴らしいことだろう、と。

vol.99 エレガントな生物

細胞が単独で生活する単細胞生物から、複数の細胞が機能を分担して生活する多細胞生物へ。これが生命の進化における最大のジャンプだった。多細胞生物は受精卵から出発する。受精卵とは精子と卵子が合体してできたひとつぶの細胞である。その受精卵細胞が分裂を繰り返しながら増えていく過程で、細胞がそれぞれ個性を帯び、専門化を果たしていく。

vol.98 分化とはスイッチのオン・オフ、そしてボリューム調整

生命の時間はおよそ38億年と考えられている。もっとも初期の生命の痕跡がこの年代の地層にまで遡れるからである。それは原始的な単細胞生物だった。そのあと二十数億年という時間をかけて生物はゆっくり進化を遂げていくことになるが、この間、生物はずっと基本的に単細胞のままだった。

vol.97 多細胞化の起源

生命の問題を時間の軸に沿って考えたとき、最大のジャンプはどの時点で起きたのかと問われれば、それはとりもなおさず単細胞生物だったものから多細胞生物が生み出された瞬間である、と答えることができる。たとえば私たちヒトは約60兆個の細胞から成り立っている多細胞生物である。

vol.96 老化とは何か

前回触れた早老症の問題をさらに掘り下げて考えてみたい。老化は年齢を重ねるとともに徐々に起こる複雑で、多面的な現象である。顔にしわができ、皮膚がたるみ、猫背になっていく。外見上の変化だけでなく、代謝回転が遅くなり、循環不全が起こり、骨密度が低下する。しかもこれらの変化は時間の関数として推移するので、観察や解析も簡単なことではない。個人差も大きい。

ゴミ、捨てんなよ!

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