ソトコト ソーシャル&エコ・マガジン

福岡伸一の生命浮遊

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vol.158 サンガー会の思い出

ニセモノのヌクレオチド、つまりダイデオキシヌクレオチドを使って、DNA合成を途中で止め、その止まったところのヌクレオチドの種類を読み取ることによって、順次、DNAの遺伝暗号を1文字ずつ解読していく。根気のいる、しかしこの画期的な方法の原理を最初に編み出したのが、英国の生化学者、フレデリック・サンガーである。

vol.157 遺伝子配列解読法

AGGCCTGGCTCGAATGACTT……。このようなA、T、C、Gの4文字からなる文字列が遺伝暗号の配列である。A、T、C、Gは、それぞれアデニン、チミン、シトシン、グアニンと名づけられたヌクレオチドという化学物質で、互いに似ているが少しずつ構造が違う。これが化学結合を介して、数珠玉状に連結しているのが、DNAである。

vol.156 GP2遺伝子を取り出す

直径10センチほどの円形のナイロンフィルターが何枚も目の前に並んでいる。一見、ただの白い薄切りの円盤。まさに千枚漬けだ。肉眼では見えないが、ここにはミクロなレベルで、重要な現象が積み重なっている。まずナイロンフィルターの表面には点々と、ライブラリーのcDNAが固定化されている。

vol.155 探査針はGPS

さて、いよいよ遺伝子の隠れ家を突き止めるときがきた。少し前の回に書いた千枚漬けの話を思い出していただけるだろうか。直径10センチほどの白いナイロン製の薄い円盤のことを千枚漬けに例えた。わたしたちはこの円盤のことを通常、フィルター、もしくはメンブレンと呼んでいる。

vol.153 ナイロンフィルターを
漬け込む

それは一見、千枚漬けの作業工程に似ている。私は京都で学生生活を送ったので、その様子を見たことがあったのだ。京都名産の京野菜である聖護院かぶの皮をむき、薄くそぎ切りにする。直径10センチあまり。それは円形のナイロンフィルターにそっくりだ。それを樽の中に一枚一枚ていねいに並べて敷き込んでいく。

vol.148 遺伝子釣り~DNAとRNA~

前回は、釣り針(タンパク質のアミノ酸配列情報から得た遺伝子暗号候補)を使って、それと相補的な配列を有する遺伝子本体を釣り上げる技術の原理を話した。その際、省略したことについて今日は述べておこう。細胞の中、細胞核の内部に折りたたまれて鎮座しているDNA(その総体をゲノムと呼ぶ)は、情報を安定的、かつコンパクトに保持するため、二重らせん構造をしている。

vol.147 遺伝子を釣り上げる

タンパク質のアミノ酸配列の情報をもとに、塩基配列情報を推測する。これをもとに遺伝子を釣り上げることができる。これを遺伝子クローニングという。ゲノム計画が完成するまでは、遺伝子の全体像はまさに地図のない、まったくの未開の大陸だったから、私たちは手探りで進むしかなかった。

vol.146 部分的なアミノ酸配列

およそ500個のアミノ酸が連結してできているGP2というタンパク質の完全なアミノ酸配列を知りたい。これが私たちの研究の当面のゴールだった。精製した貴重なGP2の標品(サンプルのこと)を少し使って、先頭から15個のアミノ酸配列を決定した。それから、また標品の一部を使って、GP2をいくつかの断片(これをペプチドと呼ぶ)に分解し、その断片をそれぞれ分離・精製して、その断片の先頭からアミノ酸配列を解読した。

vol.145 さらにアミノ酸解析を進める

500個のアミノ酸の連なりによって形成されているタンパク質GP2。私たちはようやく先頭から15個までのアミノ酸配列を知ることができた。だが、ゴールはまだまだ遠い。アミノ酸配列全体を知る必要がある。しかし先頭から1つずつアミノ酸を切り離して、それがどのアミノ酸であるか決定していく方法には限界があった。

vol.144 アミノ酸配列を決める

私たちが膵臓の細胞から精製してきたタンパク質GP2のサンプルは、予想していた以上にきれいなものだった。この場合のきれいさとは、混じりものがない純粋品である、ということだ。試験管の底にほんのわずかだけ溜まっている透明な溶液の中には、GP2の分子以外のものはほとんど含まれていない。

ゴミ、捨てんなよ!

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