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駒崎弘樹の日本の第三の道 未来の日本? トランプ現象と「政治のポルノ化」の深い関係。

駒崎弘樹 こまざき・ひろき × 東 浩紀 あずま・ひろき

駒崎: アメリカ大統領選の共和党候補ドナルド・トランプは、地方のプア・ホワイトに圧倒的に強いようですね。それが全米に広がりつつあるのが恐ろしいのですが。

東: あれは未来の日本のすがたと言える。とても重要な現象です。単なる右傾化の話じゃない。そもそも、サンダース現象トランプ現象は近いと言われています。鬱屈を持ち、自分たちが見捨てられたと思っているマジョリティ(多数派)が、わかりやすいワンフレーズ・ポリティクスの流れに乗っかった。

駒崎: 対岸のトランプを恐れている場合じゃなくて、われわれの未来の姿を今見ているわけですね。

東: トランプの戦術がうまいから勝ち上がったという話ではない。まさに彼こそがいま「人々が求めるもの」なんです。民主主義とは実はトランプのような人物を求めるシステムだったんだと、あらためて認識しなければいけない。「日本のトランプ」だって必ず出てくるはずです。

駒崎: そうか。近い将来、和製トランプが出てくるわけですね。

東: アメリカのトランプ現象を見ていて思うのは「政治のポルノ化」です。以前、週刊誌の編集者から、グラビアでおっぱいを出すと本当に雑誌がおもしろいように売れると聞いたことがあります。

駒崎: いい、悪いは別にして、単に売り上げが上がると。

東: そうです。そしてその編集者曰く「人間とはそういうものである」と(笑)。僕はその言葉が忘れられません。悲しいかな、本当にそうだと思うんですね。普通、編集者はコンテンツで勝負している。いい記事だと売れる、悪い記事だと売れないという競争があります。でも、そんなこととは関係なく、とにかくおっぱいを投入すれば売れてしまうという現実がある。

駒崎: そうですね。一時、週刊誌はおっぱいだらけでしたね。家に持って帰れないような。

東: それがくだらないことなのは、みな知っている。おっぱいには、なんの意味もない。でも現実におっぱいで勝ててしまうわけです。トランプというのは、まさに政治にその論理を持ち込んだ人だと僕は思っているんです。政治をポルノ化した人物。

駒崎: ほお。「政治のポルノ化」。

東: そう。人が反応する刺激的で魅力的な言葉をポンポンと言い放つ。みなどうせすべての嘘で、口先だけの約束だとわかっている。わかっちゃいるけどやめられない。トランプはそういう「政治のポルノ化」に開き直った人だと思います。

駒崎: しかし、対するヒラリーは、言語をポルノ化できないわけですよね。

東: そう。彼女の政策は現実的だからポルノ化できない。彼女は知的だと思うけど、ポルノ化できなかったら負けるという現実もある。

プア・ホワイト
アメリカの低学歴・低収入の労働者層・貧困層の白人を示す言葉。ホワイト・ラッシュとも呼ばれる。プア・ホワイトの人口は、アメリカの全人口のうち50%に上るといわれている。
サンダース現象
アメリカ大統領選挙の予備選で、民主党候補のバーニー・サンダース氏が本命とされていたヒラリー・クリントン氏と接戦をするほど支持を集めた現象のこと。
トランプ現象
11月のアメリカ大統領選に向けた一連の動きの中で、共和党第一候補ドナルド・トランプ氏が、世の中の予想に反し支持を集め続けている現象のこと。

ゴミ、捨てんなよ!

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