ソトコト ソーシャル&エコ・マガジン

駒崎弘樹の日本の第三の道 問題発掘から解決へと導く鍵は、正しい言論のあり方にある。

駒崎弘樹 こまざき・ひろき × 荻上チキ おぎうえ・ちき

駒崎: 個人が書いた「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログが話題となり、ついには総理大臣の答弁が引き出されるまでパスがつながりました。総理の答弁は「匿名である以上、実際本当に起こっているか確認しようがない」というような内容でしたが、これまでの社会運動やメディアを通じた世論形成から少し外れた、新しい形で政治が動くパターンが生まれたのでは、と感じています。これには良い面、悪い面があって市政の人たちが「声を上げること」によって、政治が変わるという希望を示した。悪い面では「声の大きい人が騒げば世の中が変わる」というふうに思った人もいたでしょう。荻上さんは「世の中の変え方」という意味において、このケースをどうご覧になりましたか?

荻上: 例えば、シリア難民の男児が溺死した写真がFacebookやtwitterで拡散されて、国際世論で難民対策が動きましたね。これまでもネットを通じて社会運動が盛り上がった例は、各国いろいろとあったわけです。『保育園落ちた~』も日本社会に広く影響を与えました。もちろん、単に「ネット上の個人の書き込みと、政治がダイレクトにつながればいい」と手放しには思いません。その間に専門家や活動家、当事者性が代弁できるNPOがあり、そのフレームをしっかりと取り上げるメディアが必要です。

民主主義を構成するためには様々なプレイヤーの厚みが、それぞれの分野で必要になってくるわけです。とはいえ『保育園落ちた~』では、きっかけがSNSやブログというのは、俊敏さをこの社会が獲得したという評価もできるんだけど。

駒崎: たしかに、ブログ、SNSで拡散、国会とパスがつながった感じはありますね。

荻上: ええ。だけど、これからは各分野の日常的なロジックの研磨が、不可欠な状態であることは変わりない。そこは力を抜かず頑張らないといけないと感じました。

駒崎: なるほど。僕は運動の近くにいたので、第三者的な視点で見ることができなかったんです。間近にいて感じたのは「政策の窓」が開いている間に、具体的な政策を放り込む重要性です。今回のケースで僕は、民進党、自民党、公明党に呼ばれて「今、何が必要か」を話しました。その話が緊急対策に組み込まれたんです……。前から言っていたことなんですけどね(笑)。「いざ鎌倉」のときに、すぐに行けるように自分を研磨しておく必要がありますね。

保育園落ちた日本死ね!!!
今年の2月中旬に書かれた匿名のブログが社会を揺るがすほどの話題に。待機児童問題の深刻さを浮き彫りにしたこのブログはその後、衆議院予算委員会でも取り上げられ、政府が待機児童解消に向けた緊急対策をまとめるまでにつながった。
シリア難民の男児が溺死した写真
内戦で混乱するシリアから家族と一緒にヨーロッパへ逃げる途中、ボートの転覆事故に遭いトルコの海岸に流れついた3歳の男の子の遺体写真のこと。この写真は2015年9月、世界中の新聞で一面に掲載され、SNSでも拡散。多くの人に大きな衝撃を与えた。

ゴミ、捨てんなよ!

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