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岩手県、宮城県の震災がれきを日本全体で処理しよう!

広域がれき処理は、どうして必要なのか?

 今、東北の被災地で復興をはばむ大きな壁になっているのが大量のがれきだ。一時的な仮置場に置かれたがれきは、いまだに山積みにされ、火災の危険、あるいは悪臭やハエの発生など衛生面でも問題がある。

 現在、被災地では既存の施設に加え、仮設の焼却炉を設置するなど、懸命に取り組んでいるが、その処理能力をはるかに超えるがれきがまだまだ存在しているのが現状だ。

 がれきがなくならないうちは、復興ははじまらない——実際、それが被災地の人たちの実感ではないだろうか。そこで、政府は震災から3年後の2014年3月までにがれきの処理をすべて終えるという目標をたて、全国の自治体に協力を呼びかけている。対象となるのは、岩手県と宮城県のがれきで、各県内で再利用や処理をできるだけ行ったうえで、それでも処理が難しい部分を他の都道府県に担ってほしいとしている。実際、岩手県のがれき総量は約525万トン、宮城県は約1154万トンだが、そのうち広域処理を希望しているのはそれぞれ120万トンと127万トン(5月21日現在)。大半は、県内で処理されるのだ。

 また、広域処理されるがれきは、多様な災害廃棄物のなかでも再生利用に適さない木くず、廃プラスチック、不燃物など。放射線の影響が懸念される福島県のがれきは含まれず、さらに放射性セシウムの濃度を搬出側の自治体で二重にチェックするなど、受入れ側に安心してもらえるような体制を整えている。

 放射性物質濃度の測定データもわかり易く集約して、公開している。

困っている人を助けるのは、人の道

がれき処理受入れの経緯について説明する中之条町の折田町長。

 前出の交流イベント「花と音楽で日本を元気にしよう!」の開催は、群馬県・中之条町、高山村、東吾妻町の吾妻東部衛生施設組合が、6月から宮古市のがれき処理を受入れたことがきっかけとなった。がれき処理の決断を行ったのは、中之条町の折田謙一郎町長だ。本年1月、町長就任直後、突然の受入れ発表にとまどった町民も多かったという。

「南三陸町を訪れ、防災センターの前に立ったときに、言葉もありませんでした。その後、TVなどでがれきが復興をさまたげているのを知って、困っている人を助けるのは人の道ではないか、と思いました」

 住民がいちばん心配したのは、放射能のことだった。そこで、廃棄物が安全であることを、焼却試験の検査数値などを用いてていねいに説明するために、15地区で20回も住民説明会を開いてきた。

「最後には住民の方々の理解を得られ、『がれきを受入れよう』という素晴らしい決断をしていただきました。東日本大震災で、私たちは、忘れかけていた思いやり、助け合おうという気持ちこそが大切であると、あらためて教えられました。今回得た教訓を生かしていく義務が、私たちにはあります。広域処理を通じて、地域同士の絆が強まり、未来の孫たちが『群馬のおじいちゃん、おばあちゃんは、みんなで協力して東北の人を助けたんだ』と誇れる町にしたいと考えています」

がれきゼロが、地元産業復興のスタート

 大震災直後から 、大勢の人が被災地に入り、大量に発生したがれきの撤去作業などを行ってきた。東京都も、都内区市町村や民間の事業者団体が主体となり、2011年4月下旬から3週に亘り、仙台市に清掃車約100台、およそ300人の人員を派遣し、浸水被害にあった家財道具等を仮置き場に運ぶ作業を支援してきた。

 東北のがれきの量はあまりに膨大で、「阪神・淡路大震災の経験から、被災地だけでは処理しきれない」と感じた今井さん。そこで、都では早い段階から、がれきを都内で受入れる枠組みを考えてきた。

 6月に議会で補正予算が承認され、受入れの準備をしていた矢先、都内においても焼却灰等の放射能が問題となった。「被災地からのがれき受入れにはその安全性をしっかりと確認する必要があり、その態勢づくりまでに時間がかかってしまった」、と今井さん。実際、東京都が岩手県宮古市からがれきの受入れ表明したのは9月末で、実際に受入れたのは11月のこと。当初の予定よりは遅れたけれど、東北以外の自治体ががれきを受入れた最初の事例となった。

「受入れているがれきが安全であること、放射能については処理した後でも処理灰や焼却施設周辺の環境が受入前と変わりがないことを、都民にしっかりと情報開示しています」

 受入れを表明してから受入れ開始までは、かなりの数の抗議や不安が寄せられていたが、きちんと情報を提供する都の姿勢から、少しずつその数は減っていったそうだ。

「がれきの処理と聞くと特別なことをしているように思われる方もいますが、基本は、被災地で安全性を確認したものを自治体清掃工場や民間処分業者で受入れ、通常のごみ処理と一緒にがれきも処理しているということです。清掃工場の場合はがれきの割合はおよそ10%以下なんですよ」

 宮古市からのがれきの受入れは、この6月に終了し、現在は宮城県・女川町、石巻市、岩手県・大槌町からのがれきが東京都に運ばれている。

「女川町では、東京二十三区清掃一部事務組合で3月から受入れをはじめ、がれきが撤去された仮置場の一部で、冷凍施設の建設が進んでいます。秋には完成し、獲れたさんまを保存できるそうです。復興とは、地元の産業である漁業や水産加工業などが復活することです。がれきの処理が終わらなければ、新しいことはやはり進まないと思います」

 被災地の中で人的・物的な被害が最大で、膨大ながれきが発生している石巻市では、仮置場でのがれきの発酵が進み火災の危険性が高まっていることから、宮城県からは早急に処理を進めたいとの要請があり、6月から受入れを開始した。都は被災地からのがれき処理の要請を受けて、その安全性や受入施設の状況を確認し調整したうえで受入れていく。一日でも早く被災地からがれきがなくなってほしい——今井さんの話からは、そうした強い意思が伝わってきた。

現地視察で理解が進む

 島田市では、1日約48トンの廃棄物処理の余裕がありましたから、受入れを表明しました。がれきが片付くまではやろうと思っています。反対意見に対してはいろいろな対策を行いましたが、市民から公募して行った現地見学会はいちばん効果がありました。実際の姿を目の当たりにすることで理解が進みました。

まず、スタートすることが大事

 被災地支援を行う過程で、復興のためには、がれきの問題を解決しなければと実感してきました。4月から本焼却を開始しましたが、市民のみなさまからは「よくやってくれた」との評価をいただきました。とにかくスタートさせないと、あれだけのがれきは処理できません。全国の自治体が受入れることが復興への道だと思います。

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