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花と音楽で、がれきが再生と希望のシンボルに

「絵だけでなく、花も飾りましょう」と前野さん。

 会場に入ると、カラフルな絵が何枚も打ち付けられた大きなオブジェ「旅するクジラ」が目に飛び込んできた。この日の午前中、群馬県の中之条町、高山村、東吾妻町の子どもたち数十人と、宮古市の「千徳学童の家」からやってきた4人の子どもたちが集まり、宮古市のがれきでつくられたオブジェに“絵の花”を咲かせたのだ。

 このイベントは、華道家の前野博紀さんをリーダーとする「平成のはなさかじじぃず」による「がれきに花を咲かせましょう」プロジェクトの一環。いち早く岩手県宮古市のがれきを受入れ、処理を開始した中之条町、高山村、東吾妻町に対して、同市が感謝の気持ちを伝えると同時に、受入れ先の2町1村に、がれきに復興と希望の思いをのせた「旅するクジラ」を贈ろうというものだ。

左/中之条町のツインプラザに飾られているクジラ。「旅するクジラ」は高山村、東吾妻町にも飾られている。中・右/「午前中行われた“絵の花”を描くワークショップ。宮古市のがれきを粉砕して板状にしたものに描いた。
がれきにみごとに桜の花が咲いた。

 イベントは、チェリスト・大藤桂子さんの生演奏にのせて、前野さんが大きながれきのオブジェに桜を咲かせるパフォーマンスから始まった。流木だけでなく、柱や臼、折れた鉄骨や碇などのがれき。初めは色もなかったが、桜が1本、また1本と生けられると、どんどんその表情が変わっていく。子どもたちがつくった「旅するクジラ」も、絵を飾る前と後では、まったく雰囲気が変わったのと同じ。花の力を感じた瞬間だった。

上/宮古市のがれきの様子をスライドで紹介。中/「旅するクジラ」の前で演奏する大藤さん。下/代表して登壇した子どもたちと。

 「オトダマでイノチを吹き込んでもらいましょう」と言う前野さんにうながされ、大藤さんが2曲をオブジェの前で披露。会場にはしっとりとした時間が流れた。そして、子どもたちと会場の全員で、復興支援ソング「花は咲く」の合唱、「旅するクジラ」の寄贈式、宮古市と中之条町、高山村、東吾妻町での苗木の交換、「千徳学童の家」への机と椅子の寄贈などが行われた。「昨日まで使っていた日常のものが津波でがれきになりましたが、それが、こんな形でアートになり、子どもたちの心にとどまってくれることがうれしいです」という「千徳学童の家」の遠藤先生の言葉に、会場からはあたたかな拍手が起こり、和やかにイベントは終了した。

 大震災の負の遺産ともいえる“がれき”が希望を託すものに変化し、岩手県と群馬県を結んだ今回のイベント。「がれきに花を咲かせましょう」プロジェクトを進めてきた前野さんにも、特別な思いがあったのではないだろうか。

「がれきがある限り、復興は途上です。いち早く処理を進めるには“お互いさま”という日本の美しい心が必要なのではないでしょうか。その“心”が、こうしたイベントや私たちの活動を通して、日本中に広がってほしいですね」

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