今月のソトコト環境移動教室
ソトコトは、読者の皆様や、NPO・NGOで活動されている方々のボランタリーライフを応援していきます。
このホームページは、誰もが参加できる様々なNPOやNGOの活動を紹介するイエローページや、子供たちのための情報教育プログラム、ボランタリーライフを積極的に楽しみたい方々のための掲示板・Blog、イベントカレンダーなど、all freeで公開するサポートサイトです。
キーワードは、「LOVE&HARMONY」 。
ソトコトは、人と地球が共鳴しあう、楽しいボランタリーライフを応援します。
月刊ソトコトでは、トヨタの協力により、「ソトコト環境移動教室」を開催しています。子どもたちと一緒に体験するエ コロジー。あしたの地球のために、いまできることは?
そんなコンセプトから、毎月一回、様々なジャンルで活躍さ れる方々を講師として迎え、子どもたちと一緒にフィールド ワーク型の環境スクールを開催。
講義プログラムは、日本各地で活動されているNPOやNGOの 方々との協業で行っています。
ここでは、環境移動教室のレポートや、参加いただいた講師、 NPO/NGOのスタッフの方々のプロフィールも紹介しています。
右/カシワの葉を子どもたちに見せる藤原さん。「実は、カシワの木は、淡路島はもちろん、西日本ではあまり多く生えていません。だから、西日本では柏餅に使う葉っぱとして、サルトリイバラという木の葉を代用します」とカシワに似たサルトリイバラの葉も見せ、植物の分布の違いによって利用の仕方にも違いが見られることを教えた。左上/子どもたちと中嶋さんに植物の生態を説明する藤原さん。中下/木の葉の裏にセミの抜け殻を発見。左下/タブノキの葉を噛むと白い粘液が出てくる。樹皮は線香の粘着・増量剤となる。
澤田さんを先頭に、子どもたちは網を持って生き物探しのために田んぼへ向かった。圃場整備を行っていない昔ながらの田んぼの用水路には、今では珍しくなった生き物がたくさん棲息している。
右上/環境省の絶滅危惧種に指定されているミズオオバコ。用水路の水中で咲いていた。右下/帽子の上にアマガエルが! 左上/アカハライモリは日本の固有種。小さな子どものイモリもいた。左下/「おなかが真っ赤だ!」と、アカハライモリの赤い腹部を子どもたちは珍しそうに眺めていた。
今では少なくなった“素掘りの水路”には、生き物がたくさん棲息している。「トノサマガエルだ!」「アメンボだ!」「ヤゴもいるよ」と子どもたちは、コナギなどの水田雑草が生える水路に網を差し入れ、生き物を捕まえていた。
右上/圃場整備されていない丸い田んぼが棚田のように広がっている。右下/田んぼの所有者である中垣良之さんにa、捕まえた生き物を見せる子どもたち。左/水槽に集めた生き物を見る子どもたち。「いろんな生き物がいると楽しいね。それが里山の生物多様性なんだよ」と澤田さん。
前号に続き、女優の中嶋朋子さんを講師に招いて行われた、兵庫県・淡路島での環境移動教室。2日目は、兵庫県立淡路景観園芸学校敷地内の森で自然観察を行った。子どもたちを案内してくれるのは、同校の主任景観園芸専門員である藤原道郎さんと、同景観園芸専門員の澤田佳宏さん。
「今から行くのは、昔はみかん畑だった森です。どんな植物があるのか、観察しましょう」と、藤原さんは子どもたちを連れて校舎の裏手に広がる森へと向かった。
子どもたちは虫捕り網でセミやトンボを追いながら、藤原さんの後をついて歩く。藤原さんは特徴的な植物を見つけると、立ち止まって子どもたちを集める。
「この木の葉っぱを噛んでみて」と葉を取り、歯でガシガシと噛む。子どもたちも1枚ずつ葉を摘み、藤原さんを真似して噛んでみる。
「ネバネバした糸が引いてきませんか?」と藤原さんが尋ねると、「本当だ」と、噛んだところから出る白い粘液に気づく。
「この粘液の出る木は線香の原料になります。淡路島は線香の産地なのです」と、藤原さんが種を明かすと、「線香に?」と中嶋さんと子どもたちは驚いた顔で、噛んでいた葉っぱをじっと見つめた。
「この葉っぱ、見たことある?」と、別の木の前でも立ち止まる。「何かに利用する葉だけど、分かるかな」と、葉っぱでものを包むような仕草をしてヒントを出す。すると、「わかった、柏餅だ!」と男の子が声を上げた。
「正解。この葉で包んで蒸したのが、この柏餅」と、藤原さんが鞄の中から柏餅を取り出して見せると、子どもたちは笑い出した。
「では、このカシワのほかに、まわりにカシワの木はありますか?」と、問いかける。子どもたちは周囲を見回すが、カシワの木はこの1本しか生えていない。
「きっと、柏餅を食べたいから植えたんだよ」と、男の子が言う。
藤原さんは笑いながら、「いい答えだね。実はこの森は、人が植えた木ばかりの森なのです。見てごらん、木の高さが低く太さも細く揃っている。種類はどうかな?」。
「葉っぱの形がいろいろ。種類の違う木が多そうだね」と、中嶋さんが周囲の木を見比べて言う。
「森には、人が利用するために植えた木も生えています。このカシワも誰かが植えたもの。柏餅をつくろうとしたのかもね」と、藤原さんは男の子に微笑みかけた。
森の観察を終えた子どもたちは、生き物観察のために田んぼへと向かった。澤田さんによれば、この田んぼは、圃場整備を行っていない昔ながらの田んぼなので珍しい生き物を観察できるそうだ。用水路を覗くと、トノサマガエル、ヤゴ、オタマジャクシが、水中にびっしりと生えたコナギの陰に潜んでいるのがわかる。子どもたちは生き物を捕まえようと、手にした網を用水路へ差し入れていた。すると、「トノサマガエル、捕まえた!」と、さっそく男の子の大きな声が聞こえる。そのまま慌てて駆け出し、畦道に置いた水槽にカエルを入れる。
「あそこにも、カエルがいるよ!」と、中嶋さんも子どもたちと一緒に畦道を駆ける。「どこ?」と、女の子が中嶋さんについていく。
すると別の場所から、「イモリだ
!」という男の子の甲高い声が響く。イモリは子どもたちにとって珍しいらしく、数人が駆け寄ってその捕獲を見守っている。
「イモリはカエルほどすばしこくないから、慌てなくても大丈夫」と、澤田さんがアドバイスする。網を何度か出し入れするうちに、とうとう大きなイモリが捕まった。
「やった! 捕まえたよ」
男の子たちはとても嬉しそう。澤田さんや中嶋さんに得意げに見せて回る。「おなかが真っ赤だね」と、アカハライモリの赤い腹部を珍しそうに眺めていた。
水路では、希少なミズオオバコの白い花も見られた。環境省の絶滅危惧種に指定されている植物が、この田んぼのまわりに数種類あるという。「こういう田んぼがあちこちにほしいですね」と澤田さんは、夢中になって生き物を探す子どもたちに目を細めていた。
日が暮れかかった頃、澤田さんが子どもたちを水槽のある場所に集めた。
「この田んぼの水路には、他の場所では見られない生き物がたくさんいます。それは、水路がコンクリートではなく、土でできた素掘りの水路≠セから。素掘りの水路にはイモリも棲めるし、ミズオオバコも花を咲かせるのです」
子どもたちは、水槽の中のカエルやイモリを眺めながら澤田さんの話に耳を傾けていたが、話が終わると、それらをすべて水路に返した。イモリもカエルも、水路の中を元気よく泳いでいった。
「バイバイ。元気でね」と、子どもたちはその姿を見守っていた。
「子どもの頃の経験って、大人になっても覚えているものです」と、自身の子どもの頃の自然体験を思い出す中嶋朋子さん。「全身を使って、好奇心をフルに働かせながら、楽しんだり、驚いたりした、エネルギーにあふれた自然体験は、今でも記憶に残っています。それが、環境問題を考える原動力になっていると思いますね」。東京生まれの中嶋さんは、ドラマの撮影があったことで北海道の大自然にふれることができたが、都会に暮らす現代の子どもたちは自然を体験する機会が少なくなってしまっている。「だからこそ体験が必要。体験がないと、自然を噛み砕いて誰かに伝えることができなくなる。体験することで、知識として学んだ環境問題を発展させたり、教室では思いつかない解決策を見つけられるようになるはず。ぜひ、自然をもっと体験してほしいですね」。 |
中嶋さんも子どもたちと一緒に畦道を楽しそうに駆け回り、用水路で生き物を捕まえて遊んだ。 |
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