月刊ソトコトでは、トヨタの協力により、「ソトコト環境移動教室」を開催しています。子どもたちと一緒に体験するエ コロジー。あしたの地球のために、いまできることは?

そんなコンセプトから、毎月一回、様々なジャンルで活躍さ れる方々を講師として迎え、子どもたちと一緒にフィールド ワーク型の環境スクールを開催。

講義プログラムは、日本各地で活動されているNPOやNGOの 方々との協業で行っています。

ここでは、環境移動教室のレポートや、参加いただいた講師、 NPO/NGOのスタッフの方々のプロフィールも紹介しています。

今月のソトコト環境移動教室

 

上/幼稚園から小学4年生までの子供たちが参加。古民家の居間に集まって楽しく絵を描いた。左/虹の模様、猫の顔など、カラフルにペイントされた花豆の箸置き。

上/紙パレットの上に絵の具を出して、花豆に好きな絵を塗る子供たち。右中/えがおファームで採れた花豆。花豆は、主に寒冷地域で栽培されている。右下/佐藤さんは、笑顔の女の子の絵を花豆に描いた。佐藤さんに似てるかも左下/「僕、手で塗ったよ」と見せてくれる男の子。

上/縁側に花豆の箸置きを並べて乾かす。汚れた手を見せて、「みんなで40セットも描いたよ!」と子供たちは喜んだ。佐藤さんは「筆だけでなく手まで使って自由に描く。子供ってすごいですね」とニコリ。右中/箱膳に使われている木の説明をする、えがおつなげての理事、日高さん。「この箱は何の木でできていると思う? ヒントは、食べ物がなる木」「う〜ん」と考える子供たち。右下/箱膳キットを組み立てる。膠を使って糊づけする。左下/ねじ回しでビスを打ち込む。手でふれて、匂いをかいで、子供たちは木に親しみ、木を学んだ。

 「素敵な建物ですね。懐しい感じがします」と、山梨県北杜市にある一軒の古民家に到着し、プリウスから降りるアーティストの佐藤玲さん。庭先で出迎えてくれたのは、NPO法人えがおつなげての代表理事、曽根原久司さんだ。「この建物は江戸中後期に建てられた古民家で、現在は私たちの活動拠点として使っているんです」。
 えがおつなげては、農作業などを通じて都市と農村の交流を図るNPO団体だ。その、えがおファームで昨秋に収穫された花豆に絵を描き、箸置きをつくるのが今日の最初のプログラムだ。
 しばらくすると子供たちも到着し、古民家の中に駆け込んできた。 「先生、よろしくお願いします!」
「先生なんて呼ばれると恥ずかしいな」と、佐藤さんは照れ笑いを浮かべながら居間へ向かい、そこで花豆の箸置きづくりが始まった。
 まずは、佐藤さんのお手本から。「花豆1個だと箸置きとして小さいので、2個でワンセットにしましょう」と筆を手に取り、絵を描き始める。「女の子の顔にしようかな」と、まるで花豆に描く女の子の顔のように、佐藤さんはニコニコ笑いながら絵を描く。ものの1分もしないうちに、女の子が笑っている絵の箸置きができた。
「すごい!」「可愛い」と、佐藤さんの手元を覗き込んでいた子供たちは、出来上がりを見て大喜び。さっそく自分たちも花豆を取り、思い思いの絵を描き始めた。
「色を混ぜてもいいよ」と佐藤さんが子供たちに声をかけると、
「私、混ぜる」
「僕も混ぜる」
「何色を混ぜる?」
「黄色と青!」
「マーブルになってきれいだね」
 女の子が佐藤さんに質問する。
「先生、2個描いちゃダメ?」
「いっぱい描いていいよ」
 べっとりと絵の具を塗ろうとしている小さな子供には、「薄く塗ったほうが乾きやすいよ」とアドバイス。すると、「僕、手で塗る!」と筆を置き、直接指に絵の具をつけて花豆に色を塗り始める。それには佐藤さんも驚いた。
「わっ、新しい技法だね。でもそのほうが薄く塗れるかも」と、ユニークな発想をほめてあげた。
 佐藤さんは花豆に絵を描きながら、絵の具をとってあげたり、塗り方を教えたり、子供たちの間を行ったり来たりと大忙しだった。
 描き上がった花豆は日当たりのよい縁側に並べて干した。ハートの絵、猫の絵、虹模様など、カラフルで可愛い箸置きが40セットも出来上がった。
「筆だけでなく指で塗ったり、ティッシュで塗ったり。私は当たり前のように筆を使っていますが、子供たちは自由奔放。刺激になりました」と佐藤さんは、絵に向かう子供たちの姿勢に感心していた。

 

  花豆の箸置きが乾くまでの間、子供たちは箱膳の箱をつくった。教えてくれるのは、えがおつなげてで、森と木の部門を担当している日高保さん。
「それでは今から、お昼にいただく箱膳の箱をつくってもらいます」と、日高さんはすでにあるいくつかの箱を、佐藤さんと子供たちの前に並べた。それは、えがおつなげてで商品化するために試作品としてつくられた箱膳の箱だ。
「これは栗の木の箱。栗は人間がいちばん古くから使ってきた木です。これは、松。これは、サワラ。サワラは風呂桶や寿司桶に使う柔らかくて温かみのある木で、私の家では床に使っています。そして、この箱は何の木かわかるかな? かいでごらん」と、日高さんは子供たちに箱を差し出す。鼻を近づけて匂いをかいだ子供たちは、「つんとする」「でも、いい匂い」と感想を口にする。そして、「わかった、檜だ!」と物知りの子供が手を挙げて答えた。
「そう、正解。檜は強い匂いがするので悪い虫が近寄りません。だから、白蟻がこないように家の土台に使うことが多いのです」
 子供たちは木にもいろいろな種類と特性があることを知り、うなずきながら聞いていた。
「みんなには今から、このキットを組み立ててもらいます。これなら簡単につくることができます」と、日高さんは子供たちを近くに集めた。糊となる膠を側板と側板の接続面に塗り、さらにビスで固定するのだ。
「膠って、蜂蜜みたい」
「次は僕が塗る!」
 子供たちは順番に膠を塗り、ねじ回しを器用に使ってビスを打ち込み、最後にビスの穴を塞ぐために小さな木片を埋め、そこをハンマーで軽く叩いて箱膳キットをひとつ組み上げた。
「よし、これで完成です」と日高さんがいうと、子供たちは「できた!」と、嬉しそうに声を上げた。

 

「普段から都内の森や大きな公園を散策し、作品づくりのインスピレーションを与えてもらっています」という、自然が大好きな佐藤玲さん。「自然のものって、そのものがユニークなかたちをしているから見ているだけでも面白いし、個々を組み合わせているうちにどんどんアイデアが浮かんできます。いつかは草花や木の実、貝殻などを使ったアート作品をつくりたいですね」と意気込む。気に入った風景やものに出会うと自転車を止めて作品のための写真を撮るそうだ。そんなナチュラル系アーティストの佐藤さんの環境問題への思いを尋ねると、「ゴミのでない生活を心がけています。人任せにしない積極的な姿勢が必要だと思いますね」と微笑んだ。さて、そんな佐藤さんの写真集が今年11月〜12月にパワーショベルブックスから発売予定。佐藤さんが所属するカイカイキキのURL
http://www.kaikaikiki.co.jp/

カメラを手にウェディング会場に移動する佐藤さん。「撮りたいものがいっぱい」と木や花にレンズを向けていた。

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・2009.01.05 NEW

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